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第13話 没落令嬢とモンスター・ハウス


【進捗】『イフオン』雑談スレ【どうですか】



 433 名無しの登場人物

 なんか火山がやべーことになってんだけど




 434 名無しの登場人物

 どうした噴火でもしたのか?




 435 名無しの登場人物

 配信動画見てないか?

 ファラ様の




 436 名無しの登場人物

 <<435

 そういや配信日今日だっけか

 ぷちっとやられてかんしゃくでも起こしてるか?




 437 名無しの登場人物

 いや、ダンジョンの入り口でほかのプレイヤーとかち合ってさ




 438 名無しの登場人物

 どうせファラ信者過激派が応援でもしに来たんだろ?

 よくちかくで待ち構えてる連中

 マジメに迷惑だから何とかしてくれ……




 439 名無しの登場人物

 そいつらじゃなくて普通のプレイヤー2人組

 アルフォンスともう一人




 440 名無しの登場人物

 アルフォンスってことはそいつマリーさんじゃねえか!

 トッププレイヤー同士で火山の攻略賭けて喧嘩しだしたのか!?




 441 名無しの登場人物

 いや待て、マリーさんならさっきNPCの雑貨屋にいたぞ?

 むくれててすんげーかわいかった(語彙消失)




 442 名無しの登場人物

 え、うらやま……




 443 名無しの登場人物

ならアルフォンスのそばにいるそいつは一体何者だよ?

あんな絶世の銀髪巨乳美女ほおってダンジョンとか絶許案件




 444 名無しの登場人物

 <<442

 わかんねえ、赤い髪で長めのポニーテールをした男なんだけどさ




 445 名無しの登場人物

 動画あったわ




 446 名無しの登場人物

 ポニテしてて男なわけねーだろw




 447 名無しの登場人物

 いまファラとそいつらが洞窟の攻略権かけてレースやってて




 448 名無しの登場人物

 どうしてそうなったw

 3000人のベータ勢とは言え下位クラスと初心者だろ?

 普通に倒せるんじゃ




 449 名無しの登場人物

 どうせ欲張ってダンジョン最速攻略者になろうとしてるんだろ?

 攻略者は公式掲示板にも情報が流れるからな、ファラの考えそうなことだ




 450 名無しの登場人物

 サンクス<<445

 それと残念なお知らせだ

 そいつ分かれ道で左選んだぞ




 451 名無しの登場人物

 おいおいおいおい死んだわそいつ




 452 名無しの登場人物

 おいおいおいおい死んだわそいつ




 453 名無しの登場人物

 おいおいおいおい死んだわそいつ




 454 名無しの登場人物

 おい、その画像何十年前の奴だ<<453www




 455 名無しの登場人物

 よりにもよってコウモリ地獄の左か~~~

 いいとこ行ってたのに残念だ




 456 名無しの登場人物

  このまま順当にファラの勝ちでオワリ! 閉廷!




 457 名無しの登場人物

 猛毒コウモリには気を付けよう!




 458 名無しの登場人物

 いやまて……この女……いや男……いやなんだよこいつ……!




 459 名無しの登場人物

 なんだよ今度は




 460 名無しの登場人物

 お前ら、とりあえず動画見てみろ……

 こりゃ女どころか、男どころか、人間どころか……




 *


「ヒャッハーーーーーーー!! コウモリ狩りのじかんだーーーー!!」


「バケモンだ……バケモンがいる……」


 私が杖をふるってブリッツを出すたびに、面白いくらいコウモリが吹っ飛んでいく!!

 脳みそからヤバいくらいになんかでてる感じがするーーー!

 アルがなんか言ってるー! でもコウモリの羽音でよく聞こえなーーーい!!


「わーーーーい! たーのしーーーー!!」


 腕輪の力でマシンガンみたいに出る電撃の威力がどんどん上がっていって、今じゃ大砲みたいな威力になってる☆ どっかに当たるとちゅどーん☆ってなるから控えめに言ってスゲーーー!

 一回でコウモリがなん十体も消し飛ぶーーー!

 爆風で舞うすなぼこりでコウモリのフンでできてた沼も乾いてふつうに通れるようになってきたーー!


「見てよみんなー! ちょーーきもちいーーー!」



『なんということでしょう……』

『こっわ』

『コウモリの巣を更地にしてフンの沼解決とかwww』

『なんだこいつ……いや、なんだこいつ』

『快楽物質くんこわスンギ!』


「おい……」


「うーん? なあにーー? きこえなーーーーい!!」


 みんな声がちいさいなーーー!

 とくにアルは吹っ飛んでくるガレキをよけながらなんか言ってるけどコウモリの羽音のせいできこえなーーい!


「アルーーきあいがたんないぞー、腹から声出せーー!」


景気づけにいっぱついっとくーー?


「リーズ!! HP!! よく見ろHP!!!」


「んお?」


 お~~気合はいるじゃーん☆

 んでHPがなんだって? スーサイドでHPが削れてるからってそんなに焦る必要は……


「んーと? のこり……2ぃ!!?」


うわわわわわわわわ!!

アブな、あと一発撃ったら死ぬじゃん!

少しでもコウモリがカスっても死ぬじゃん!


「はぁ……」


 大半のコウモリが消し飛んだおかげか、アルの盛大なため息もきっちりと私の耳に届く!

 だけど攻撃がやんだ瞬間、私に向かって十数匹のコウモリが一斉に突撃してきた!


「わーーっ!」


「【ポーション】飲んでろ」


 自分のアイテムボックスから呼び出したボトルを私に押し付け、アルは剣を手に残りのコウモリを仕留めていく。

 とはいえ小さくて当たりにくいからか、剣をかわされて噛まれることもあるけど、そこは【リキッドウェア】がしっかりカバー!

 繊維そのものが【凍結結晶】で凍っているから、コウモリの牙が通らないのだ!

 ふっふっふ……どうだあ? 氷の味は美味いかーコウモリ野郎ー?


「やれやれ、っと!」


 最後は噛んだコウモリを振り払って、そのまま回転切り!

 これで部屋を埋め尽くすほどいたコウモリは、一匹残らず壊滅☆

 ってわけで、勝利のファンファーレが響くのでした!


「さーて、走るわよ!」


「お……おう!」


 ━━━━━━YOU WIN!━━━━━━


 モンスターの討伐成功!


 モンスターハウス突破ボーナス+30%!

 ノーダメージボーナス+50%!


 EXPを3240獲得!


 レベルが17にアップ!


 ステータスポイント20を獲得!


 条件「戦闘で雷属性魔法を100回以上唱える」達成! 【十雷】が【百雷】に変化した!

 条件「ブリッツを100回以上唱える」達成! スキル【クーゲルブリッツ】習得!

 条件「雷属性魔法でトータルダメージ10000以上出す」達成!スキル【リヒテンブリッツ】習得!


 リーズの中で新たなる力が目覚めた!


 錬金術【二の解・分解】習得!


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 出口に向かいながら手に入ったスキルを確認!

【百雷】は単純に雷属性攻撃の強化!

【分解】は調合アイテムをもとの素材に戻すスキルで、アイテムごとに一回しか使えない!

 攻撃スキルの2つは……うん、要らん。

 私がマシンガンを撃てるのは【ブリッツ】あってのものだからね。


「アル! そっちは何かスキル手に入った?」


「……剣の攻撃がいくつか」


 ちょっと残念そうなところを見ると、お望みのスタイルは出なかったらしい。

 それに対し私はチョー気分がいい! あれだけバカスカぶっぱなしたうえ、マルジンさんからもらった【リバースドール】を使わずに済んだのだから。


 これ、戦闘で死んだときにその場から復活できるっていうアイテムなんだけど、一回こっきりの使い捨てなのよね。

 マルジンさんからもらったアイテムはもうこれしかないんだし、せめて大切に使わせていただきます……!


「ナンマンダブナンマンダブ」


「どうしたお前急に……」


 引き気味にアルが聞いてきた。

 まあいきなりマルジンさんにありがたみを感じてたらそりゃそうか。

 なので私はとりあえず、


「勝てますようにって、ただのお祈り!」


 とだけ返した。

 さあ、ここを抜ければいよいよ下層!


「ファラに追いつかれる前に駆け抜けて、吠えヅラを拝みましょ――」


「あの蛮族を負かして、トップの力を示して差し上げ――」


 ………………。


「え?」


「げ」


「あら?」


 分かれ道からでた私……たちは互いに顔を見合わせた。

 どうやらこのレースバトル、最後まで大荒れのようです……。


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