「ぴーひっひっひ! ほーっほっほっほっ!」
ライリルがベットの上で腹ばいになりひたすら跳ねている。
「病院なんだから静かにしろっ!」
「かーっ! コールは本当にうるさいなぁ〜!」
「他の人達に迷惑になるだろうがっ!」
お見舞いに来たとか言ってきてすぐこれだ。
「で、着替え持ってきてくれたんじゃないのか?」
「ミールが持ってたー」
「ミール? 何処にいるんだ?」
「ここ、ここ」
ベットの下からズリズリと出てくるな!
「俺の服着てるしっ! 汚れるからズリズリすんな!」
「私は気にしない」
「俺が気にするんだよ! いててっ……」
やっぱり大きな声を出すと傷が痛むな。
「コール〜ケーキ食べたい」
「病院にそんなもんねぇよ!」
「じゃがバター」
「ねぇって!」
好き放題かよこいつら!
「暇だから外で遊びにいこう!」
「勝手に外行ったらダメ!」
「服脱いだ」
「ありがっ……何でバニーの姿になってんだよ!」
さっきまでうさ耳はつけてなかったじゃねぇかよっ!
脱いでなくなるのはいいけど付けたすなっ!!
「セラがいないとツッコミの終わりがなさすぎる!」
「ウサちゃんじゃん! ボクも! ボクもつける! 耳ちょうだい!」
「はい」
ライリルはミールが何処からか出したうさ耳をつけて「ウサウサ〜」とか言いながら跳ね始めた。
「だから! 怒られるからっ!」
「ぬひゃ〜!!」
ベットで跳ねていたのでバランスを崩したライリルが体制を崩したので慌てて抱きしめる。
「あっぶねーな。気をつけろよ」
「ふへへ、しくった」
と、同時にミールが頭から俺に突進してきた。
「ぐふぅぅぅぅ!! 何すんだミール!!」
「しくった」
「しくったじゃない! どう見てもわざとだろうがっ!」
「コールさーん。声が聞こえましたけど大丈夫……何してるんですか!?」
「え? え?」
ナースがライリルを抱きしめてミールに絡みつかれてる俺の姿を見て驚いている。
「あ、これはですね」
「病院はこんな事をするためにあるんじゃありません!」
「いや! 誤解です!」
「ナースさん! うさ耳!」
「ウサギです」
「無理やり着せられたのね! このど変態!!」
「だから誤解ですって!」
「家では毎日着てます」
「ミィィィィィルゥゥゥゥ! 余計なこと言うな!」
「コールさん! 退院です!」
「えぇぇぇぇぇ! だってまだ痛みが!」
「ヒールかけといた。治ってる」
「ミィィィィィルゥゥゥゥ! 余計なことすんなっ!」
「ウサちゃんピョンピョンウサちゃんミョンミョン」
「早く荷物まとめて出ていってください!」
「何でこうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
その後、俺は半泣きで退院の準備を始めた。
ライリルとミールは遊び疲れたのかベットでバニー姿とうさ耳ですやすや寝てやがる。
俺の安らかな入院生活はこうして終わりを迎えた、が、何時間か後にセラにぶん殴られてまた担ぎ込まれる事をこの時の俺はまだ知らない。