「ただいにゃ! コールが帰ってきたよー!!」
先頭を歩いていたライリルが店の中に入っていく。
「ただいまー明日退院予定だったんだけど色々あって早めに帰ってこれた……うぇっ!!」
店の中にビスチェがいやがる!
「何でいるんだよ! つか上も下も薄着!」
「あっ! コールくん! こんにちは!」
「あ……こ、こんにちは……」
何か変だぞ?
「この前は本当にごめんね! 怪我までさせちゃって最低だよね……」
怖いぞ。爽やかな笑顔の薄着銀髪イケメンってかなりヤバい。
カウンターで俺から目を背けているセラを見つける。
「セラ……こいつどうしたの……気持ち悪いんだけど」
「……やりすぎた」
何をっ!!
「何をどうしたら人の人格が二、三日でこんなに変わるんだよ! あっ! パイロジェンさん! アサマキさん! 何があったか教えてよ!! ……どうして何も言わずに目を背けるんだよ!」
「コールさぁーん! 帰ってきたっすよー!」
「あっ! ハナさっ……なんで葉っぱなんだよ!!」
全てが理解できない!!
「いいなーハナちゃん。ボクも葉っぱ欲しい」
「一つ上げましょうか?」
「ダメだろ!! 一つなくなったら! 一つ出るだろうが!! 何がとは言えないんだけども! ライトかレフトかアンダーがさぁ!!」
「見てみて」
「なんだよミール今忙がっ……ビスチェの着てた鎧着てるぅぅぅぅ!!」
「それビスチェがくれるって言ってたわよ」
「はい! あげます!」
頭の処理が追いつかない。
「えーっと、ビスチェが改心して薄着になって、罪滅ぼしに鎧をくれて、ハナが葉っぱで帰ってきたで大体間違ってない?」
「「「大体は……ね」」」
セラ、パイロジェン、アサマキ、お前らは何を知ってるんだ?
「で、では私達はこの辺で、セラさん、本当にありがとうございました! ほらっ! ビスチェ行くよっ!!」
パイロジェンが前に会った時には着けていなかった指ぬき手袋をしている。
「ひっ……ひー! 行きますから指ぬき革手袋を見せないでぇぇぇぇぇ!!」
「その替えの手袋は上げるから生意気な態度とったらすぐに見せるようにね」
「セラさん本当にありがとうございました! では皆様! またお会いしましょう! お宝見つけたら売りに来ますねー!」
三人がダッシュで店から出ていってしまった。
「本当に何が彼を変えてしまったんだ……まぁ、良い奴になったみたいだし。鎧もくれたしいいか」
店のディスプレイケースに入れる品物もタダで手に入ったみたいだしな!
「あのー、コッコさんっす……そのっすね」
「ん? どうした?」
「ビスチェさんのところクビになっちゃいまして迷惑でなければここで働かせてもらえないっすかね……」
「あぁ、いいよ! 大歓迎だ。ハナは命の恩人だしな」
あの時、ハナが間に入ってくれなかったら死んでたかもしれないしな。
「ありがとうございますっす! 頑張って働くっす!」
おぉ! 葉っぱしかないから揺れが! 前に後ろに縦下と縦横無尽!!
「コール?」
「へ?」
その後のセラの一撃により俺は病院にとんぼ返りすることになり二日ほど入院した。
セラが「手袋を外し忘れた」とかなんとか言ってた気がするが、痛みでよく覚えていない。