「ギャラクティックナイトブレード!」
「何の! バインディングスラッシュ!」
「むー! それならこれでどうだ! ガイアクラッシャー!!」
大袈裟な技名を叫んでいるが傍から見たら三才ぐらいの子供のじゃれ合いにしか見えない。
「やるなライリル。さすが僕のライバルだ!」
「らっらーん! ライリルちゃんは絶対に負けないんだからね!」
楽しそうにお遊びを続けているのはコールとライリルである。(共に九歳)
「さすがいつも最下位を争ってる二人ね……お粗末すぎて見てられないわ……」
そしてそれを冷ややかな目で見ているセラである。
「よしっ! 僕は剣に火属性を付与する! どっがぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ライリルちゃんは闇属性を付与するもんね! ビシャアァァァァァァ!」
「何よその擬音……」
当たり前ではあるが二人は剣に属性を付与する事など出来ない。
魔法の才能が皆無なのが発覚するのは一年後の話である。
「いっくぞぉぉぉぉぉ! やぁっ! あっ!」
「いっだぁぁぁぁぁぁぁい!」
コールの剣がライリルの頭にクリーンヒットする。
剣と言っても形だけでかなり柔らかい素材で出来ているはずだがライリルは大袈裟に痛がり涙目になっている。
「セラァァァァ! コールがライリルちゃんをいじめたぁぁぁ!」
抱きついてきたライリルの頭を優しく撫でるセラ。
「ちょっとコール、ライリルの事泣かせないでよ」
「よけなかったライリルが悪いんだろ」
「ゔぇぇぇぇぇぇぇぇんコールのバカアホリュースショップのせがれぇぇ!」
「最後の悪口じゃない! はぁ……いいかライリル僕とお前は生涯のライバルなんだぞ? それなのにこんな事で泣いてちゃだめだろ?」
「ぐすっ……ぅん……しょうがいのライバルなりたい」
「よしっ! じゃあ今日は僕の勝ちだけど明日も明後日もこの先ずーっと勝負しような!」
「ゔん……ずっと……勝負……する」
「よしよし、それぞ生涯のライバルってもんだ」
コールはライリルの頭をクシャクシャと撫でる。
これがライリルがコールへ事あるごとに勝負を挑むきっかけとなる事をこの時のコールはまだ知る由もない。