今日もいつもの喫茶店で、私達四人で雑談をしていた。
いつもは愛さんが突然変なことを言い出して話題を振ることが多いんだけど、今日は
「みんなってお風呂に入る時ってどうやって入ってる……かな?」
多分そんなことを気にするのは私だけかもしれないけど、前々から気になっていたから仕方ない。
「あの、私兄弟もいないし
「なるほどねぇ、ヒカリちゃん特有の悩みというか質問というか。えっと、ちなみに入り方って具体的にどういう感じ?」
「例えば、
「うーん、アタシは気にしたことすらなかったねぇ」
「私の場合だと、掛け湯をして、シャンプーで髪を洗って、コンディショナーを付けてそのままにして、洗顔して、身体を洗って入浴して、出る前にコンディショナーを流すって感じです」
「コンディショナーはすぐ流さないの?」
女性目線の愛さんが聞いてくれるとどこか安心する部分がある。
「すぐに流さないのは使ってるコンディショナーの効果時間が結構長いらしいのと、私の髪が長いからという理由ですね。
「はぇー、しっかりしてるなぁ」
関心があるのかないのか、テーブルに置かれたオレンジジュースに顔を近づけてストローでチューチューと飲んでいる。
「昔から髪がキレイだと思ってたが、結構面倒なことやってるんだな」
そういえば一番身近にいたハルくんにもこういう話は聞いたことなかったし、こっちから話したこともなかった気がする。
「僕は掛け湯して、頭を洗って、身体を上から順番に洗って、最後に顔を洗っておしまいって感じですね」
雅彦くんは良い意味で普通で真面目な感じなところが、本当に好感が持てる。
「上から順番じゃなくて顔が最後なのはなんでなの?」
「うーん、特に理由はないですね。子供の頃は頭洗って、次に身体を洗っていたところに、中学生くらいから洗顔料で顔を洗うようになって、最後に追加された……からかな? 当たり前のローテーションだから気にしたことすら無かったですね」
なるほど、上から洗っていったほうが効率的なのに、ローテーションとしてあとから追加されたから最後にっていうのは面白い話だと思った。
「アタシは本当に普通だよ。掛け湯して、頭、顔、身体って順番に洗うだけ。ヒカリちゃんみたいに髪もしっかり手入れしてないから適当だよ。ただ、湯船に入っている時間は長いかな? 本とか携帯とか持ち込まなくても一時間とか余裕で入っているタイプ」
何もなしで一時間は流石に入っていられないから、何をしているのかすごく気になってしまう。
「僕は洗う時間含めても三十分くらいなんですけど。その一時間って何をしているんですか?」
私の気持ちが伝わったのか、雅彦君が愛さんに聞いてくれた。
「別に何もしてないよ、ぼけーっとしてたり、何かあるときは考え事してたりするかもしれないけど、基本的に『無』って感じ」
無とは。
「なるほど……?」
「俺も平野先輩と同じで、掛け湯して頭から順番に――」
「ハイうそ〜、この人│
愛さんが嬉しそうに
「先輩……」
ハルくんが目を
「あ……」
最後にはなった一言と共に赤面し、石像のように固まってしまった。
「えーっと……。みんな似てるけど違うことがわかったから、この話題は終わりということで……」
やっぱり、私から話題を振るのはやめたほうがよさそうだ……。