「そういえば、ヒカリちゃんって化粧上手だよねぇ、アタシも見習わなくちゃなぁ」
今日は
平野先輩はいつも
「……ヒカリさんって化粧してたんですか?」
「化粧って言っても私は薄くしてるだけだから、雅彦くんが気が付かなくても仕方ないよ」
ヒカリさんが
「言っとくけど、俺は気づいてたからな。仲間だと思うなよ」
加藤先輩がフライドポテトを食べながら一方的に距離をおいてきた。困った時は割りと助けてくれることが多いのに今日は
「これでも一応十年以上付き合いのある
「大学に入ってからはいつも化粧しているけど、高校の頃は校則で化粧禁止だったからね。化粧してたのなんてみんなと会うときだけだったし、余計に分かりづらかったから気づかないのも当然だよ」
ヒカリさんが
そんななか、少しだけ得意げな顔をしている加藤先輩を見て、気の
「ハルくぅーん? ここにカノジョがいるのに幼馴染のことは何でも知ってますみたいな顔してさぁ。それじゃあ、このカノジョ様の変化にも当然気づいてますよねぇ?」
「えっ?」
平野先輩の
「ついでに雅彦くんにも
平野先輩はニコニコと笑ってポーズを決めているけど、どう見ても目が笑っていないし、加藤先輩も苦笑いをしながらどこが変わったのか必死に探している様子が
挽回のチャンスどころか完全に飛び火しただけで、
「はい!」
加藤先輩が勢いよく手を上げた。
「はい、ハルくん! 早かった!」
「髪の毛を切った! ちょっとだけ!」
「うん、正解! 簡単だったよね。じゃあ、もう一つは?」
「えっ!? もう一つ!?」
「まだあるよ、ホラホラぁ!」
かかってこいと言わんばかりに平野先輩が手招きをして手を
僕も目を
「はーい時間切れー、ブッブー。そんなんじゃ駄目だよ二人共、ちゃんと恋人の事はよく見ておかなきゃ、呆れられちゃうぞ」
ぐうの音も出ない正論を言われてしまった。
「ちなみにヒカリちゃんは答えわかる?」
「えっと……。多分ですけど、グロスをちょっと
「ピンポンピンポーン! 大正解!!」
答えを聞いてもわからない……。いや、わからないというか……。
「はい……」
情けなく手を挙げる。
「はい、雅彦くん」
「グロスってなんですか……?」
チラリと加藤先輩の方を向くと目線を合わせてくれないし、ヒカリさんと平野先輩はお互いの方を向いて二人でクスクスと笑っているし……。
「雅彦くんはまず自分に関係ないことでも色々と学ぶ所から始めよっか!」
平野先輩が笑うのを
「そーれーよーりー! ハルくんはヒカリちゃんよりもアタシの方をしっかり見てよね。正直、違いがわからないなんてのは別にどうでもいいけどさぁ、ヒカリちゃんの違いはわかるのにアタシはわからないなんてのは許さないからね!」
「はい……わかりました……」
同じくすっかり沈み込んだ加藤先輩を見て、些か安心してしまっている僕がいる。
「はい……」
意気消沈した加藤先輩も情けなく手を挙げた。
「はい、ハルくん」
「あの……
今日の加藤先輩は今までで一番