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#52 恨み感 第26話

 三人は話をしながら繁華街はんかがいを散策していた。


「ヨーコ、そろそろ九尾の印ナインズアローで探索をお願いしてもいいかしら……。対象は『ステラ=ヴェローチェ』よ……」


「まぁ、そうじゃろうなとは思っておったわい」


 政木まさき臀部でんぶから矢印を三本射出し、勢いよく空に向けて飛ばし周辺の探索を開始した。


「どういう能力なのか詳しくは知らないけど、探索に関しては精度も速度もステラの方が圧倒的に上よ……。こちらの場所は既に把握されていると思ったほうがいいわね……」


「早いところ位置を特定して、奇襲きしゅうに備えねばならんのう」


「いや、今回は違うんだ、政木先生」


「ヨーコ、最後の説明よ……。ヨーコはどうしてこの世界の未来が分岐しないか覚えてる……? ヨーコはどうしててこの世界で手をこまねき、悩んでいたの……? ステラはヨーコやレイラに代わってそれを解決するつもりよ……」


 その言葉を聞いて政木は全てを悟った。


 手を出してはいけないものに手を出す。事態は自分が思ってた以上に深刻なものだった。


「そういうことなら早く言わんか!!」


 政木は臀部でんぶから更に五本の矢印を射出しゃしゅつし、合計八本の矢印を使ってステラの位置を特定し始めた。


「政木先生、ステラがいるのはおそらく人通りの少ない裏道だ。その辺りを重点的に頼む」


「この世界では仲良しこよしだったから忘れていたのかもしれないけど、私とヨーコは本来は敵対関係にあるのよ……。話したことであなたがステラの味方をするかもしれないし、ここまで至る未来が変わっては困るからギリギリまで隠していたけど……。その反応なら杞憂きゆうだったみたいね……ヨーコのそういう素直なところは嫌いじゃないわ……」


められて悪い気はせぬが、全部あとにしてもらいたいのう! ……よし! つかめた! 高速で移動しとるが一本奥の裏道に進んでおるようじゃ!」


「……やはりそこか」


「川の流れは変わるようで、意外と流れた先の結果だけ見ればそこまで変わらないみたいね……」


 政木は探知した矢印一本を残し、残りの矢印を帰還させてシキとともに探知した場所に向かって走り出し、篠崎は一人歩いて現地に向かった……。


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