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#50 恨み感 第25話

「水族館、夏祭り、次は何のイベントかと思ったら今日はこの繁華街はんかがいで何かイベントでもあるのか? 特に何ももよおものがあるようには思えんのじゃが」


 薄い白の長袖のTシャツに紺のスキニーパンツをいた政木まさきが辺りを伺いながら問いかける。


「ヨーコは頭までお祭りしてるのかしら……? 別に毎回イベントがあるから集まっているわけじゃないわよ……」


 黒いパーカーにワインレッドのミモレスカートの篠崎が髪の毛を風にたなびかせながら答える。


「安心してくれ、恐らく集まるのも今日が最後になるだろう。予定通りであればな」


 シキは黒いスーツに黒いネクタイと、まるで喪服もふくのような格好で二人と並んで歩いていた。


「さて、ようやく今日という日が来たわね……。いい加減ヨーコにも事情を説明しなきゃいけないわね……。面倒だけど……」


「政木先生は並行世界について詳しいだろ?」


「そりゃ、今まで数多の並行世界を渡って、何人ものレイラフォードとルーラシードの赤い糸を紡いできたからのう。ある程度は詳しいつもりじゃ」


「ある程度なんて謙遜けんそんしたつもりかしら……?」


 篠崎があしを取るように会話に入ってくる。


「政木先生も知っていることだと思うが、並行世界は人々の選択によって未来が分岐して新しい世界が生まれていく。しかし、新しく分岐が生まれなくなってしまったのが、この世界のような閉じた世界だ」


「ここでヨーコに問題よ……。閉じた世界であっても未来が変わる要因は何かしら……?」


「簡単じゃ。ワシらのような世界を渡る者は閉じた世界の影響を受けぬ。ワシらが起こした行動は未来に影響を与える、それが良い結果か悪い結果かはわからぬがな」


「流石は政木先生、正解だ。要するに有紀奈や政木先生はこの世界にとってなんだ。本来その世界に存在しないは未来を変えることができる」


 淡々《たんたん》と説明するシキを横目に見ながら、政木は腕を組んで頭を横にして考えながら話を聞いている。


「第二問よ、ヨーコ……。閉じた世界に来たの私達はを変える事ができるわ……。でも、そんな私達がする行動自体が既にに含まれてしまう状況ってあると思う……?」


「未来を変えることが出来るワシらの未来が、既に決まっておるということか? 大層矛盾した話じゃな、未来を変えられるのに変えられぬとは」


 横になっていた頭を上に向け、いよいよ政木の理解の範疇を超え始めていた。


「なに、簡単な話よ……。私達がいるこの世界をもう一度最初からやり直したら、私達の行動も全て結果が决められた未来になるわ……」


「そう、そしてがいる世界に更にが混ざる。そして、その異物は有紀奈や政木先生が変えた未来を更に変えることになるんだ……」


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