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#48 恨み感 第24話

「安藤くん、こちらがうわさの氷川さんかしら……?」


「うわぁ!!」「キャッ!!」


 氷川と安藤の背後から篠崎が突然話しかけ、二人は思わず声が出てしまった。


「し、篠崎さん! びっくりさせないでよ」


「あら、ごめんなさい……。ふふっ、こんにちは……」


 篠崎が微笑ほほえみながら挨拶あいさつをするも、既に得体えたいのしれない人物という第一印象が付いてしまい、安藤以外の三人は苦笑いをしていた。


「えーっと、こちらは僕と同じクラスの篠崎さんです、隣の席だからよく色々と話とかしてたりしてて。で、こちらが恋人の氷川ヒカリさん。あと、僕とヒカリさんのそれぞれ部活の先輩の加藤先輩と平野先輩だよ」


「……なるほど。皆さんとお会いできて光栄だわ、また何かご一緒する機会があればいいけど……」


 篠崎が軽く会釈えしゃくをするが、三人は固まったままだった。


「ごめんなさい、お邪魔したわね……」


「びっくりはしたけど大丈夫だよ」


「もうすぐ終わりの時間が近づいているから、サヨナラの挨拶をしにきたのよ……」


 篠崎が嬉しそうに笑みを浮かべる。


「終わり? あぁ文化祭が終わるって意味ね。僕も後でクラスに戻って撤収てっしゅうを手伝うよ」


「ありがとう……。片付けなら政木まさき先生が誰も来てくれないって不貞腐ふてくされていたわよ……」


 篠崎はくすくすと小さく思い出し笑いをしている。


「あぁそっか、雅彦のクラスの担任って政木先生だったな。俺の学年では担当教科ないし、バレー部の顧問こもんの先生ってイメージだからすっかり忘れてたよ、ははっ」


 加藤が場を和ませようと何とか話題を作ってみるが、困惑した空気を変えるには至らなかった。


「それじゃあ、皆さんそれぞれ末永くお幸せに……。次に会う時が最期じゃなくて最後な事を願っているわ……」


 篠崎は、四人の顔を順番にじっくりながめた後、音もなく歩いて去っていった。


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