私、氷川ヒカリは笑みを浮かべていた。
雅彦くんと文化祭を二人で回って楽しみ、今はハルくん達と合流待ちをしていた。
ハルくんと愛さんが私達を二人にしたがっていた理由が少しわかった気がする。
楽しさで言えばみんなと遊んでいた方が楽しいと思うけど、雅彦くんと二人でいるときは気持ちが嬉しくなってきて思わず顔が
二人と四人ではまた違った感情になることを知ることが出来た。
雅彦くんと出会って、少しずつだけど自分に自信が持てて、素直に物事を楽しめるようになってきている気がする。
「お、二人ともいたいた! ヤッホー!」
愛さんが手を振り、その一歩後ろをハルくんが歩いて近づいてきた。
「お疲れさまです。先輩たちのおかげでヒカリさんとじっくり文化祭を
「ん?
愛さんが雅彦くんの発した一言をしっかりと聞き漏らさず、私と雅彦くんを交互に何度もキョロキョロと目で様子を伺ってくる。
「ち、違うんです愛さん! ま、雅彦くんと別に何かあったわけではなくて!」
「
愛さんがニタニタと笑いながらハルくんの方を向いた。
当のハルくんは愛さんの顔を見て少し引いている様子だけど。
「春昭くん、今のお聞きになりましたぁ? なーんか、二人とも一歩進んだっぽくていい感じじゃな……いで……すか……」
途中まで私達をからかっていたと思ったら、愛さんは目を泳がせながら顔を
「ん? ハルくんたち何か――」
「安藤くん、こちらが噂の氷川さんかしら……?」
「うわぁ!!」「キャッ!!」
私と雅彦くんの背後から突然話しかけられて思わず声が出てしまった。
「し、篠崎さん! びっくりさせないでよ」
「あら、ごめんなさい……。ふふっ、こんにちは……」
振り返るとそこにはパーマのかかった髪の女子生徒がいた。身長が私より少し低いから、
「えーっと、こちらは僕と同じクラスの篠崎さんです、隣の席だからよく色々と話とかしてたりしてて。で、こちらが恋人の氷川ヒカリさん。あと、僕とヒカリさんのそれぞれ部活の先輩の加藤先輩と平野先輩だよ」
「……なるほど。皆さんとお会いできて
「びっくりはしたけど大丈夫だよ」
「それじゃあ……。皆さんそれぞれ末永くお幸せに……」
篠崎さんという子は、嵐のように現れて嵐のように去っていった。
「アタシが言うのも何だけど、空気読まずに殆ど知らない人同士で会話しているところへ急に話しかけてくるとかなかなかヤベー
愛さん、自覚あったんですね。
「まぁ、ちょっと変わった
結局よくわからない
こうして文化祭は終わってしまった。
そして、これからまたいつもの何でも無い日常が始まるのだった。