アタシ、平野愛は待ちわびていた。
「ぶちょー、もう見学者も殆どいないし交代の時間結構すぎてるから、遊びに行ってもらって大丈夫ですよー」
部員の一人に声をかけられた。
美術部の展示は二名から多くて三名の当番で回しているけど、今はアタシを入れて四名もいる。さっきは雅彦くん待ちをしていたヒカリちゃんがいたけど、今は明らかに
「うーん、そうだなぁー」
余裕を持って時間を少し遅く伝えてしまったことを後悔しつつ、美術室の入り口に立って廊下をキョロキョロと見回しつつ色々と頭の中で迷っていると……。
「あれ? まだ当番の時間でしたか? 早く来すぎました?」
春昭くんが何も知らないキョトンとした顔で美術室の中まで入ってきた。
「あぁ! 外! 外で!! いや、なんでもないヨ。えーっと、それじゃあみんな、お言葉に甘えてアタシは遊びに行ってくるネェー」
「誰それ、ぶちょー。彼氏ぃー!?」
「違う!!」
「うるせぇ! 彼氏持ちはみんなそう言うんだッ!! みんな! ぶちょーをとらえるぞ!! 事情聴取だ!」
「逃げるぞッ! 春昭くん!!」
◇ ◇ ◇
追手を振り切るため、彼の手を引いて全力ダッシュで別の棟まで移動してきてしまった。
「なんだこの
「ここまで来れば
「いえ、せっかくなら全部
「そうだなぁー。じゃあ、ヒカリちゃんのクラスの神社行ってみようかな? 最初に話聞いた時から結構気になってたんだよねぇ」
あれ? 今更だけど、普段は四人で外出して遊んでたから気にならなかったけど、学校内を二人で散策するのってもしかしてこれは結構恥ずかしいのでは……?
ヒカリちゃんと雅彦くんを二人にするためにわざわざ四人行動を避け、私と春昭くんの集合時間をずらしたけど、よくよく考えたら別に付き合ってるわけでもない私達まで二人で一緒に回る必要は無かったのでは……?
何かホント色々と感覚が
ヒカリちゃんのクラスに来ると教室の入り口に段ボールで作られた
「思ったより気合入ってますね」
「だねぇ、とりあえずお参りしとこっか」
教室内には
お金を入れることができないように平面で作られた
参拝をしているといつの間にか後ろに人が並び始めていたので、他の展示もあまり目を通せていなかったけどさっさと歩いて移動を始めた。
「春昭くんはどんなお願いごとしたの?
「先輩は俺のことどんな奴だと思ってるんですか……。正直、特に何も無かったから先輩の
「なにそれー! ダメダメ! ちゃんと自分のことをお願いしないと!」
「いや、でも自分の事は特に無かったんで……」
「じゃあ、アタシが代わりに春昭くんの
結局また列に並んでもう一度お参りをしてきた。
だって、自分だけアタシのことをお願いするなんて……そんなのズルじゃん?
「ヨシッ! オッケー! これで首を切られても生き残れるくらい
「それはもう健康とか関係無いレベルの話ですよね」
彼の背中をバンバンと叩きながら廊下に出て話を続ける。
ホント、気がつけば春昭くんとも
ただ、どうしても週末に四人全員で集まろうとすると都合が悪い人が出てきちゃうから、流石に毎週末集まるのは難しい。でも、集まれないからって全く遊ばないのも何か勿体ないし、なかなかムズカシイんだよねぇ。
「あー確かに。なかなか四人の都合を合わせるのも大変ですよね……」
春昭くんが妙に口ごもり数秒│
「えーっと、だから――その、人数減らして
「え!? う、うーん、そうだねェ。四人で遊ぶのも楽しいけどたまには気分を変えて、ふ、二人でってのも良いかもしれないねぇ。うん、名案だ、絶対に楽しくなると思う、行こっか、一緒に……ネッ!」