「さて、ヨーコが探してくれている間に、私達は目的を果たさせて貰おうかしら……」
街道には
篠崎が立ち止まり目を瞑ると、全身から赤と黒のオーラが身体の周囲に現れた。
「この祭りに参加している私を愛する者たちへ人探しを
赤い閃光が周囲へ走ったと思うと、一分もしないうちに安藤雅彦の現在地が篠崎の元へ伝わり、二人は伝えられてきた場所に向かって歩き出した。
篠崎とシキが人混みの流れに乗りながら先へ進んでいくと、そこには
「シキ……。あなたって夏祭りに来たことってある……?」
「いいや、一度行ってみたかったんだがな。仕方ない」
シキと篠崎は先を行く四人の背中を追いながら
「それにしても、四人とも仲が良いわね……。
篠崎が不敵な笑みを浮かべながらシキの顔を
「嫉妬なんてしないさ。この世界は俺の物語じゃなくて、あの四人の物語だからな」
篠崎の顔を見ず、シキはただただ四人の姿をジッと眺めていた。
「そう……? 『ある
「何度聞いても、その世界のネーミングセンスは酷いな」
「うるさいわね……。どうせこの『恨み感』って言う世界の名前もあと少しで使わなくなるんだから構わないでしょ……」
篠崎が少し不満そうな
◇ ◇ ◇
「おーいおーい、おったおった」
後方から政木の声がして二人とも足を止めて振り返った。
「いやぁ、場所がわかっておっても人混みの中を移動するのは大変じゃな……。って、それよりまずは報告じゃ。結論から言うとステラはおらんな」
「あら、意外ね……。ちゃんと飼い主に
篠崎は
「今回はユキナの予感は外れじゃったということじゃな。祭りの会場範囲を探索してもおらんようじゃったから、
「ステラは奇襲が
「構わぬよ。最近は珍しくユキナが頼ってきておるのじゃ、売れる時に恩は売っておかねばな」
「私は
「つまり、恩を受けておるという自覚はあるということじゃな」
篠崎が
本来は敵対しているが、だからこそ相手がどういう性格なのか、どの程度の実力なのかは
「それなら、せめて俺が代わりにりんご
今の今まで文句を言っていたから何も言わないが、政木は確実に眼を輝かせて上機嫌になっていた。
「それにしても、
先を歩いている氷川、平野、篠崎の胸部を順番に見つつ、調子づいた政木は腹を抱えて笑っていた。
「ヨーコ、あなたもその浴衣よく似合ってるわね……」
「冷静に
その光景を見ていたシキが思わず笑みをこぼしてしまった。
「俺が思ってた以上に息があってるんだな。