私、
私はやっぱり
年上なのに安藤くんをリードすることも出来てないし、後ろを振り返るといつの間にかハルくんと愛さんがいなくて
一緒に隣りを歩いてはいるものの、安藤くんとは凄く距離があるように感じてしまっている……。
もう水族館も最後のエリアになってしまった。ここを通ってしまったら、私は申し訳無さで彼の顔を見れなくなっているかもしれない……。
「……氷川さん?」
不安な気持ちが顔に出てしまっていたのか、安藤くんが声をかけてきた。
「……やっぱり、ちょっと
顔こそ笑っているけれど、安藤くんが
「違うの、悪いのは私なの……。私のほうが年上なのに全然年上らしいことも出来てないし、少しでも不安になるとハルくんや愛さんに頼っちゃうし……」
そう言っている自分が一番情けない。
「そんなこと言ったら、僕だって恋人らしいこと出来てないですし、お互い様ですよ。誰だって得意なことも不得意なこともあるんですから。氷川さんが年上だったとしても、リードするのが苦手だったら僕がリードします。年下だとか年上だとか、男らしいとか女らしいとか、そういう事は気にしなくて大丈夫です。僕が好きになったのは氷川ヒカリさんという個人であって、何かが得意な人じゃないんです。だから、そんなに考え込まないで、ありのままの氷川さんでいてください」
安藤くんは
「それに、もし加藤先輩や平野先輩に頼りたくなったら、今度からはまず僕を頼ってください。その代わり、僕も何かあった時は真っ先に氷川さんを頼りにしますから」
私は彼の微笑む顔に、声に、気持ちに、全てに
だから次は私が勇気を出す番だと。
「ありがとう、安藤くん」
私は震えて、汗もいっぱいかいている手で、安藤くんの手を握りしめて前に歩き出した。二人で一緒に。