「高校生一枚で……」
「お主の
「私はあなたと違ってズルはしないのよ。もちろん可能な限りだけど……。どうせあなたはお金を払う必要がある時は
「正直な話、別にわざわざ入場する必要は無いのだけれども、せっかくだから少しくらいは楽しもうかと思っただけよ……」
話をしながら篠崎は、政木を置いて一人で入場口へ進んでいく。
「こら、勝手に一人で行くでない……! まったく……。一体お主は何を見ようとしておるのじゃ?」
「ヨーコ、私はつくづく思っていた事があったの……。私達みたいな並行世界を渡る者はこの世界とって
政木は篠崎を追いかけるように入場し、イルカの水槽へ向かう篠崎に追いついた。
「私が安藤くんに水族館を
篠崎の問いに対して、政木は首をかしげて考えていた。
「うーむ……。今までワシの手で世界に
篠崎は
「ほれ、四人ともしっかりと楽しんでおるが、これで満足なのか?」
遅れて追いついてきた政木が篠崎の隣に立って話しかける。
「えぇ、満足よ……。多少想定外の部分もあったけど『彼らが夏休み半ばより前に水族館へ来ていた』そして『水族館付近でステラ=ヴェローチェが襲ってきた』という、この二つの事実だけで十分よ……。それじゃあ、もう帰りましょ……」
「なっ!? まだ入って五分も経っておらんではないか! 『少しくらい楽しむ』で本当に少しなやつがあるか!」
「続きを見たいなら個人的にまた来なさい……。私は人混みに
「
そのまま篠崎は来た道を引き返し、入場口の隣にある出口から水族館をあとにした。