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#21 ある美漢 第11話

 僕、安藤雅彦あんどうまさひこは勇気を出していた。


 さっき氷川ひかわさんに初めて携帯電話でメッセージを送った。


 ひたすら悩んだ結果物凄くシンプルに『これからよろしくお願いします』というような内容だった。


 送ったは良いもののなかなか返事が来なくて不安になって、送った内容が悪かったのではないかと部屋でゴロゴロ転がりながら何度も見直して悩んでいたが、三十分くらいしたら返事がきた。


『こちらこそよろしくお願いします』というシンプルなものだった。


 返事が帰ってくるだけでこんなに嬉しいとは、本当に僕はこの人の事が好きなのだと再認識した。


 一度やりとりしただけで物凄い達成感があったが、告白してすぐだけど僕はまだ次の段階に進もうと思っている!


 そう、デートに誘おうと思っているのだ!


 どこへ行こうか迷っていたけど、色々とネットで調べたら水族館がオススメだって書いてあった。


 幸い電車で行ける距離なので学生でもお手頃だし、夏の暑い時期であっても室内は涼しく、いい感じに暗いのも雰囲気ふんいきが良い。


 なにより、お互いに話すことが無かったとしても、水族館の生き物達をいくらでも話のネタにできる!


 一人で全部考えたにしては上出来じょうできな場所だと思っている。


 よし、大丈夫かどうかはわからないけど、脳内シミュレーションは完璧だ……。


 あとは誘うのみだ!


 ――って思っていたけど、結局勇気が出せずにいたら、いつのまにかしまった……。

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