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#16 恨み感 第8話

「くっくっくっくっ……見つけたぞ、ユキナ=ブレメンテめ……!」


 篠崎しのざき政木まさきと自動販売機の近くで雑談していた頃、長いポニーテールの少女が篠崎達の通う高校の前で仁王立におうだちし、篠崎の本名を口にしていた。


 小柄な体型にTシャツと短パン。長いポニーテールをしているから女子に見えるが、見ようによっては男子小学生にも見えるちだった。

 その髪の毛は黒と呼ぶには青く、青と呼ぶには黒かった。


「ワタシはどんなことをしてでもレイラフォードとルーラシードをくっつけてやるんだからな! 今度はどんな悪巧わるだくみをしようと思っているかはわからないけど、邪魔するなら許さないぞ!」


 少女はシシシと笑いながら高校の校門へと歩いて行った。


「ん……? ちょっと君」


 少女の歩く先にガタイの良い男性教師が立ちはだかり、道をふさいだ。


「君、中学生? いや小学生か? どちらにせよ制服着てないしうちの生徒じゃないよね? 関係ない子は立入禁止だよ。ほら、帰った帰った」


「えっ……。いや、あの……」


 少女は男性教師を見上げるように顔をのぞくと、教師の顔は少女のはるか上空のように感じた。しかも、それはまるで眼の前にある壁のような圧迫感を与えてきた。


「なに?」


「いゃ……。その……何でも無いです……」


 小柄な少女は更に小さく背中を丸め、徒歩で夕日に向かって去っていった……。

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