#4 恨み感 第2話
彼が告白する一年ほど前、腰まで届く長い金髪の女性レイラ=フォードは、とある中学校で英語の教師をやっていた。
レイラはある時、担任でもないにも関わらず、とある生徒を進路指導室に呼び出した。
「安藤くん、担任の先生から第一志望の高校を見せてもらったんだけど、今の君の成績なら確かにギリギリ合格できるとは思うわ。でも、受験がゴール地点ではないことは理解している?」
「はぁ……どういうことですか……?」
安藤と呼ばれた少年は、日頃から勉強を頑張っているにも関わらず、褒められていないと感じたのか不服そうな顔をしていた。
「君は勉強熱心だし、この中学では成績が優秀な方だけど、恐らく第一志望の高校では下位近くの成績になってしまうかもしれないわ。せっかく良い高校に入れても、そこで勉強について行けなくなって落ちこぼれてしまっては意味がないわ」
レイラは言いくるめようとしているのか、尤もらしいことを話している。
「どうしても君が第一志望の高校に行きたいのであれば止めはしないけど、個人的にはもうワンランク下げた第二志望の高校を勧めるわ。高い成績を取り続けた方がモチベーションも上がって、結果的に第一志望の高校に行くよりも良い結果を生むと思うわ。一度親御さんとも相談してもらえるかしら」
安藤はレイラの言うことも一理あると考えているのか、少し悩んでいる様子だった。
しかし、流石に人生を左右する決断は即答はできないため、安藤は一度話を自宅に持ち帰って両親と相談することにした。
「そうそう、こういう第二志望みたいな学校にこそ運命の出会いみたいなものがあるかもしれないわよ……」
この新しく与えられた選択肢によって、定められていた未来が変貌を遂げた。