#3 ある美漢 第2話
私、氷川ヒカリは悩んでいた。
今日、私は見知らぬ男子生徒からまた告白を受けてしまった……。
一年生の安藤雅彦くんと言うらしい。彼には悪いことをしてしまった……。
私は彼の告白を了承したけど、やっぱり彼は私が『男』だと言うことを知らなかった。
告白してきた側の人に交際の返答を保留してもらうという逆転現象がいつも起きてしまっている。
きっと、また今回もお互いが傷ついて終わるのだと思う……。
私は苦しくなって、幼馴染のハルくんについ電話をしてしまった。何かあるとすぐ彼に頼ってしまうのは、私の悪い癖だと言うのは理解している。
『――まず、いい加減ハルくん呼びは止めてくれよ。もうお互いに小学生じゃないんだから、せめて春昭くんとかさ……』
加藤春昭――ハルくんは家が近所だったから幼稚園の頃から付き合いのある幼馴染の男子で、一緒の小学校にも通っていた。
中学生になって私が一駅離れた隣の市へ引っ越したから、彼とは学区の違う中学へ通うこととなってしまった。
もちろん、中学に入ってからも時々《ときどき》連絡は取り合っていたけど、同じ高校で再会することとなり、また改めて親交を深める間柄となった。
『大体事情はわかったよ。多分、その安藤って俺と同じバレー部の後輩だろうな……。入部して数ヶ月だが、真面目だし俺の知る範囲では悪いやつじゃないと思うぞ。まぁ、明日それとなくお前のことについて聞いてみてやるよ』
「ありがとう、ハルくん……。いつもごめんね……」
『だから、ハルくんはやめろって!』
話を聞いて欲しいだけだったのに、気がつくといつもハルくんに気を遣わせて助けられてしまっている。私は自分で何も出来ずにいつも頼ってばかりで、本当に情けない人間だと思っている。
そんな情けない私を小さい頃からいつも助けてくれるハルくんは、本当にヒーローみたいでカッコいい人だ……。