目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

援軍は来るのかな?

 しばらく時間が立つと、シヘンが紅茶を入れてくれ、茶請けのクッキーも出てきた。


「そ、それじゃあ、あの箱と魔人の襲撃について、どうするか考えるわ」


 ラミッタはマルクエンと同じデザインのマグカップを見てから、顔を赤くして紅茶を一口飲んだ。


「箱は冒険者ギルドが昼夜監視してくれているから、夜の番は必要ないみたいだな」


 夜に誰かが監視しなくて良いのはありがたかった。


「そうですね、後はいつ魔人が襲ってくるかッスね、すぐに来るのか、油断した所を襲ってくるのか」


「私はすぐに来ると思っているわ」


 ラミッタが言い切ると、マルクエンは疑問を持ち、たずねる。


「どうしてそう思うんだ?」


「私が魔人だったら、軍隊が来る前にこの街を襲うわ」


「なるほど、確かに」


マルクエン達はラミッタのごもっともな意見に納得した。


「とにかく、今はいつでも戦えるように備えるだけね」


「あぁ、分かった!」


 その日もやたら美味いシヘンの料理を食べて、マルクエン達は眠りにつく。





「おはようございまーす。マルクエンさん」


 シヘンが部屋のドアをノックし、マルクエンは目が覚める。


「おはようございます、シヘンさん」


 ここで迎える二度目の朝だ。うーんと伸びをし、着替えてから廊下に出た。


 一階では皆が先に待っており「遅いわよ!!」とラミッタに言われてしまう。


「悪い悪い」


 ハハッと笑いながらマルクエンは返した。皆で「イタダキマス!」と言って食事を始める。


「今日は街で魔人や魔王の情報を集めるわよ」


「了解ッスー。ってことは、まず冒険者ギルドッスか?」


「えぇ、そうね」


 食後の一服も終わり、マルクエン達は家を後にした。






「おはようございます! 皆さん!」


 ギルドでは受付嬢のミウが元気に挨拶をしてくれた。


「ちょうど良かったです! ギルドマスターと、この街の兵士長様からお話があるらしくって、ギルドの者がお家にお伺いしようかと思っていた所なんですよー」


「お話……?」


 ラミッタはそう呟き、何となく嫌な予感を感じ取る。


「お昼前、11時頃にお時間よろしいでしょうか?」


 時計を見ると、今は9時を回ったぐらいだ。


「わかりました。11時ですね」


 マルクエンはそう返事をする。2時間ほど時間が空いてしまうので、ギルド内で何か情報を集められないかと考えていた。






 約束の時間までもう少しとなる。結局、ギルド内で聞き込みをしても有力な情報が集まらなかった。


 逆に、マルクエン達は何処から来たのか、Dランクという噂は本当なのか? 魔人を追い払ったのは本当なのかと質問攻めに会ってしまう。


「マルクエンさん、兵士長様がお見えになられましたー!」


 ミウが声を掛けてきて、正直助かったとマルクエン達は思った。


 そのまま会議室へと呼ばれ、ギルドマスター、兵士長と対面する形で椅子に座る。


「皆様、ご足労いただきありがとうございます」


 兵士長が頭を下げ、マルクエン達も礼を返す。


「さて、早速本題に入らせて頂きたいのですが、軍隊が到着するのが大幅に遅れる見込みでして……」


 ラミッタはそんな事だろうと思っていたが、マルクエンは驚いて理由を尋ねる。


「それは……。どういったご事情でしょうか?」


「はい、どうやら各地で魔人の目撃情報が相次ぎ、また、この街に置かれた箱の様な物も設置されているようです」


「そんな……」


 シヘンは思わず言葉が漏れ出た。うーんと唸るマルクエン。


「困りましたね……」


「応援を要請しましたが、ここは王都からも遠く、各地での騒動が終わり次第という形になりそうです」


 それを聞いて、ラミッタが話し始める。


「要するに、私達だけであの箱をどうにかしなくてはいけないと?」


「はい、申し訳ありませんが……」


「私達ギルドも、勇者マスカル様に連絡を取り付けてみたのですが、別の町の箱を対応中との事でした」


 勇者マスカルの名を聞いて、あぁと思い出したマルクエン。あの一緒に食事をした男だ。


「冒険者ギルド、この街の駐在兵、治安維持部隊で連携して街を守っていく方針ではありますが……」


「あの箱や魔人の事はお任せ下さい」


 マルクエンの言葉に兵士長は安堵した。


「あなた方がいらっしゃるなら、本当に心強い」





 話し合いが終わり、マルクエン達はギルドを出た。


「あんな安請け合いして良かったの? 宿敵」


「放っておけないだろう? それに、魔人が向こうからやって来るならば、話は早い」


「まぁ、そうね」


 そんな事を言って4人は街をぶらつく。昼が近いので腹も減ってきた。


「お昼近いですし、何処かで食べていきませんか?」


「そうね、そうしようかしら」


 ケイの提案にラミッタは同意する。


「あの屋台通りなんてどうっスか? 前から気になってたんスよ!」


 昼になると屋台が一斉に現れる、この街の有名な観光名所のことをケイは言っていた。


「確かに、見て回るのも良いわね」


 そんな感じで話はまとまり、4人は屋台通りまでやって来た。


「おぉー、にぎやかな場所ですね」


 活気のあふれる通りには、食べ物屋から露天商まで様々な店が開かれている。


「それじゃ、何か目ぼしいものでも見付けましょ」


 ラミッタが言うと、マルクエンも「あぁ」と返事をし、人混みをすり抜けて見回った。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?