「そういやラミッタさん、街を守るって引き受けて良かったんスか?」
ケイの言葉にラミッタは頭の中で疑問符が浮かぶ。
「どうしてかしら?」
「いや、街を守るのは立派なことッスけど、Dランクの冒険者にしては強すぎるし、別の世界から来たってバレちゃわないッスか?」
ケイの意見は
「確かにそうかも知れないけど、魔人はどのみち私達が別の世界から来たことを知っていたわ」
ウィスキーを少し飲んでから話し続ける。
「魔人の数を減らして、いずれは魔王を倒す。今の私達に出来るのはそれぐらいよ。まぁ別の世界から来たってバレたらその時はその時よ」
「なるほどッスねー」
飲み続けるケイとラミッタ。シヘンの作ってくれたおつまみも相まって酒が進んでいた。
「ラミッタさん、その辺にしておいた方が……」
「にゃんれよー、わたしはーまだのめるわー」
呂律も回っていないし、顔が赤い。ケイが止めるが、ラミッタは強い酒を飲み続ける。
「まぁ、そろそろいいじかんだしー、わたしはへやにかえってねるわー」
「お、おやすみなさいッス」
「ラミッタさん、酔い醒ましの魔法使いましょうか?」
シヘンがラミッタの身を案じて言う。
「まものがー、おそってきたらーおねがいするわー」
念のためと一階に置きっぱなしだった装備を持ってフラフラと千鳥足で歩くラミッタ。階段が心配だったが、何とか上っていったようだ。
部屋のドアを開けて中に入る。剣だけ壁に掛けてから、頭が回っていないのか、あとの装備は床に散らばって置かれていた。
靴までその辺で脱いでベッドに向かおうとするが、床に座りこんで力が出ずにいる。
そこでベッドから何か気配がする。ラミッタは目を凝らしてそちらを見たが、景色が揺れ動いていた。
「なんだ……?」
物音で起き上がる者がいる。それはマルクエンだった。
「しゅ、しゅくてきー!? なんであんたわらしのべっどでねてるんだー!!」
「なっ、ここは私の部屋だぞ!?」
床に座り込むラミッタを見てマルクエンは驚く。何やら様子のおかしいラミッタと、酒の匂いで察した。
「ラミッタ、酔っているのか?」
「なー!! わたしはよってないー!!」
はいはいとため息をついてマルクエンはベッドから起き上がる。
「部屋に連れて行くぞ」
マルクエンはラミッタをお姫様抱っこする形で抱え上げた。
「やー!! なにするんらー!!」
ラミッタは抵抗するも、力が入っていない。マルクエンが廊下に出ると、シヘンとケイにばったりと出くわした。
「なっ!? どういう状況ッスか!?」
「ラミッタさん!?」
「どうも酔っていて部屋を間違えたらしいですね。私が隣の部屋まで運んでおきます」
両手が塞がっているマルクエンに代わり、ケイが部屋のドアを開けた。
そのままベッドに行ってラミッタを寝かす。
「おやすみ、ラミッタ」
「まてーしゅくてきー、にげるなー」
よく分からないうわ言を言っていたが、ラミッタはすぐに眠りについた。
翌日、ラミッタは頭痛で目が覚める。二日酔いでまたフラフラとしながら一階に降りてきた。
皆は朝食を
「すいませんラミッタさん。一応、起こしには行ったのですが……」
「別に大丈夫よ。ちょっと水を頂戴」
シヘンが水を持っていくと、一気に飲み干した。
「今、酔い醒ましの魔法を掛けますね」
「悪いわね……」
シヘンはラミッタの手に触れて魔法を掛けた。みるみる内に気持ち悪さが抜けていく。
「あー、スッキリしたわ。ありがとねシヘン」
「いえ、大丈夫ですよ」
テーブル前の椅子にラミッタは腰掛ける。
「ラミッタ、昨日は大変だったぞ。間違えて私の部屋に入ってくるし……」
そこまで聞いて、ラミッタは吹き出し、慌てた。
「なっ、わ、私がそんな事するわけ無いじゃない!! ちゃんと自分の部屋で寝ていたし!!」
「あー、マルクエンさんが運んだんスよ。お姫様抱っこで」
ニヤリと笑いながらケイが言う。するとラミッタは顔を真っ赤にして大慌てだ。
「う、嘘!? 嘘でしょ!?」
「嘘じゃないぞ」
マルクエンが真顔で言うので、ラミッタは恥ずかしさが爆発しそうだ。
「な、なに酔っ払っている私に好き勝手しているのよ!? このド変態卑猥野郎!!」
「理不尽だぞ!!」
行き場のない感情でラミッタはマルクエンに当たっていた。
朝食を終え、ラミッタはマルクエンの部屋に散らばる装備を見て、昨日のことが現実だったと再認識する。
「もうやだ……」
マルクエン達は装備を整え、家の外へと出て、冒険者ギルドへと向かった。
ギルドの中に入ると、マルクエン達を見た者たちが小声で話し合う。
「おい、昨日の……」
「何者なんだ?」
そんなヒソヒソ声を気にせず、マルクエンは受付に向かった。
そこには、家の場所を案内してくれた女性が立っている。
「あぁ、マルクエンさん達! おはようございます!」
「おはようございます。っと、まだお名前をお伺いしていませんでしたね」
「そうでしたね、申し遅れました。私はミウと申します」
そう言ってミウは頭を下げた。