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救世主

 コンソの体が光とともに薄く消えて行くのを見届けた後で、ラミッタとマルクエンが言う。


「これは私の手柄ね!」


「いや、一番槍は私だ」


 そう言った後に二人はお互いを見てふっと笑う。


「次はどっちが魔物を多く倒せるかね」


「あぁ、負けん」


 マルクエンは重装とは思えない速さで走り、大剣で敵を真っ二つにし、ラミッタは魔法の雷や氷で敵の数を減らしながら、近付く者を剣で切り裂いた。


 しばらく戦って、魔物が消えたことを確認し、二人は剣を仕舞う。


「私は百三十六匹よ」


 ラミッタが言うと、マルクエンは気まずそうに頭をかく。


「えっと、すまん。夢中になってて数えてなかった」


「宿敵……。バカ正直ね」


 そんな二人に、トーラ村の村長が近付いた。


「ラミッタさん。そしてそちらの冒険者の方、ありがとうございます」


 死んだ顔をしながら言う村長に、マルクエンは、なんて声を掛けたら良いのか分からずにいた。その代わりにラミッタが言う。


「村長さん、来るのが遅れて申し訳なかったわ」


 家々が燃え盛る村を見てマルクエンも同じ気持ちになる。


「いえ、お二人が来て下さらなかったら、もっと酷い事になっていたでしょう」


 その後、分かった事だが、村人は避難していたので犠牲者が居なかったらしい。兵士と冒険者数名が怪我を負ったぐらいだ。


 村人達は戦火を逃れ、残った家で夜をやり過ごした。マルクエンとラミッタも家に居ることを進められたが、部屋が狭くなるので野宿をする。


 二人は寝袋に入り、向かい合わせに寝た。先に眠ったラミッタの顔を月明かりが照らす。マルクエンは初めて近い距離でその顔を見た。


 すぅすぅと気持ちよさそうにする寝顔を見つめ、いつの間にかマルクエンも眠りについていた。



「いつまで寝ているのよ宿敵」


 マルクエンはその声で起きた。もぞもぞと寝袋から出てうーんと伸びをする。


「あぁ、おはようラミッタ」


 村では炊き出しが行われていた。


「あ、マルクエンさんとラミッタさん! おはようございます」


 シヘンが二人を見て挨拶をする。マルクエン達もおはようございますと返した。


「お二人も朝ごはんどうですか?」


「いえ、大丈夫です」


 ただでさえ大変な村の事を思い、遠慮するマルクエンだったが。

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