私とルルーシュが激しくぶつかっている中、カーネリアンは純白のボンテージスーツ姿で、女王メーテリアと向かい合う、幼女姿のオパールと対峙していた。
「なぁーーんだぁ~~。白猫と黒猫も来たのかぁ~。凄いねぇ~同窓会みたいだねぇ~!」
「あんたね、人間の国を陥れ、エルフの国を手に入れようなんて、百万年早いさね!」
カーネリアンの掌から鞭のように放たれる雷撃は、オパールが纏う何かによって弾かれる。幼女は無邪気な笑顔を見せたまま、白猫の攻撃を無視し、掌から邪素を籠めた蒼い炎を
「きゃはははっ。そんな守ってるだけじゃあ何も出来ないよぉ~?」
「それはあなたも同じでしょう? オパール」
力と力。それぞれの
「ねぇ。ねぇねぇねぇ? 久し振りの戦闘で、身体が鈍ってるんじゃないの? カーネリアン?」
「そんなことは、ないさねっ!」
オパールの挑発に乗るかのように、雷撃、火柱、風塵、水流。一つの属性ならまだしも四つの異なる属性、しかも上級魔法レベルの攻撃を連続で放つ彼女が精霊女王であるという事実を、私は後から聞かされる事になるのだが。
拮抗した状況の中、オパールはその場を愉しんでいるかのように舞台で飛び跳ね、プリンセスドレスを翻す。纏っていた邪素を一旦
「面白くなって来たねぇ~~。折角だから、もうちょっと遊んじゃおっか?」
蒼き瞳と紅き瞳を妖しく光らせ、蠍座の守護者は無邪気に踊る。
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ルルーシュは勝ち誇ったかのように私の前へ立ち、瑠璃色の肌へ飛散した紫色の液体を指でなぞり、自身の舌で舐め取った。
(フフ……完全に後れをとった形ね。ここまで追い込まれたのは初めてかもしれないわね)
「あら……どうして笑っていられるのかしら?」
「フフフ……命を弄ぶような
ルルーシュが私を蹴り飛ばし、傷口を赤いピンヒールで踏みつけ、抉る。思わず顔が一瞬歪むが、再び不敵な笑みを浮かべる私に彼女は眉根を寄せたまま、邪素をぶつける。
「下衆悪魔ですって! アナタこそ人間の肩を持つエセ上級悪魔の癖に、気に喰わない……気に喰わないわね!」
彼女の掌から放たれる氷の刃を掌で受け止める。紅いマニキュアを塗ったダイヤモンドのように磨かれた
「決めたわ。ワタクシの氷で痛めつけ、殺さずオパールの力で生きた奴隷にしてアゲル♡」
「あなた……狡猾なように視えて、感情が高ぶると、意外と周りが見えなくなるのね」
厚い壁となっていた氷の檻はそのままに、ルルーシュの
「メイ! 受け取って!」
「ナイス判断よ、ハルキ」
ハルキが檻のあった場所へ突き刺さっていた漆黒の鎌を引き抜き、私へ向かって投げつける。両膝をついた状態で私は漆黒の鎌を受け取り、僅かな力で彼に微笑んだ。
「メイ……! お前、
「……そんなこと……言っていられないでしょ、トルマリン?」
紫色の血が止めどなく流れている。私の傍へ駆け寄った道化師姿の
「我の判断ミスだ。メイ。仕方ない。守護者トルマリンの名の下に、汝の力、強制発動させるぞ!」
「え……どういう……んっ!?」
一瞬何が起きたのか分からなかった。私の唇に冷たい何かが触れている。思ったよりも柔らかい。いや、そんな事を考えている場合ではない。
(え……待って……待って……これ……嘘よ……)
腸を抉られ、瀕死状態だった事も忘れ、全身が次第に熱くなっていく。道化師からの不意打ちの
「ちょっと……このエロマリン……どういうつも……」
ドクンッ――
刹那、私の鼓動が跳ね上がる。血液が循環するかのように全身が
何なの……熱い熱い熱い熱い……!?
「ワタクシを愚弄した罪……アナタ達……許しませんわよ……」
砕けた檻の外、トルマリンの攻撃により吹き飛ばされ、倒れていた上級悪魔が怒りの形相で立ち上がる。しかし、この時、全身を滾らせた私は宙に浮かび、愉悦に満ちた表情で上級悪魔を見下ろしていた。
「フフフフフ……あなたが今迄弄んだ命の数……今から裁いてあげるわ」
「メイ・ペリドッド……アナタ……その姿……!?」
彼女の掌から放たれた氷刃は、宙に浮かぶ私の前、見えない何かに弾かれる!
「……
天空の舞台、刹那、空間より現れし月光に導かれ、遂に終焉の天秤が顕現する――――