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ユウリたちは他の生徒や大人の
エデンの右翼に移って進んでいくと、たびたび傷ついたエデリア人に出会った。エデリアの各都市からの救援依頼役だった。救援部隊は何度か人員を分けた結果、帝都に向かう人数はユウリ、フィアナ、カノンを含めて十人となった。
しばらく行くと、広大な水堀と黒色の城壁が見えてきた。帝都の外周部である。ユウリたちは幅広の橋の上を飛行移動する。しかし。
ザバアッ! 眼下の堀の水面が割れ、巨大な何かが姿を現す。
次の瞬間、ガギィッ! 眼前で金属音がした。短髪の男性
そのすぐ前では、水色の生物が翼を羽ばたかせていた。大きさは人間とそう変わらず、背中には甲羅がある。額には氷のような角が生えており、短髪の男性の剣とつばぜり合いをしている。
わずかに遅れて、盛大な水音が何度もして、続々と同種の生物が五体出現する。
「な、何なのよこいつら!
「君たちはまだ知らないか! 最近確認された、水生
短髪の男性が叫んで、ぐっと体重を前にやった。水生
「こいつらは動きが独特だから、初見の者には任せられない! ここは我々が引き受けるから、君たちは帝都の中に向かってくれ!」
女性の
「わかりました! では申し訳ないですが、よろしくお願いします! ご武運を!」
ユウリはぴしりと言い放ち、飛ぶ速度を上げた。水生
帝都の開け放たれた門が迫ってきた。ユウリたちは飛んだ状態で通り抜けようとする。
地面に影が差した。(何だ? 急に暗くなって──)ユウリが訝しんでいると、「上です!」カノンが切迫した声音で言い放った。ユウリは反射的に上方に首を向ける。
視界の中心に大きな球体が入った。色は黒で、表面には竜鱗がびっしりと付いている。
(
ユウリは戦慄した。その間にも
押しつぶされるのを回避すべくべく、ユウリは速度を上げる。だが、影の切れ目ははるかに遠く、落下範囲からは到底、逃れられそうにない。
(逃げ切れないっ! くそっ! 迎え撃つしかないのか! でもこいつの表皮は……)
ユウリは
対応すべく高速思考している間にも、
次の瞬間、
衝突点が発光し、ゴウッ! 人影と
表皮から頭が飛び出した。巨炎を受けて苦しげな面持ちを見せている。
「多少大きいからと少し警戒していたが、こんなものか。見かけ倒しだな。もう少し楽しめるかと思ったんだが」
澄んではいるが詰まらなさそうな女の子の声がした。ユウリは眼前の声の主を注視する。
「メイサ先生!」ユウリが声を張り上げると、人影はすたりと着地し振り返った。
メイサ・アイシスだった。小さな両手を細い腰に当て、尊大な視線をユウリたちに向けている。
「君の読みは正しかったな、ユウリ君。
メイサの台詞は居丈高な調子だった。
「先生。どうしてここに……。
ユウリはおそるおそる疑問を口にした。
するとメイサの瞳が、強気の色を増す。
「私を誰だと思っているんだ、ユウリ君。うすのろの
言葉を切ったメイサは、おもむろに門のほうに顔を向けた。ユウリもつられて視線をそちらに移す。
門を入ってすぐ、帝都の創始者の石像の前に、男が立っていた。
リグラムだった。以前に会った時と異なり、精緻な模様の施された黒の軍服を纏っている。
メイサはゆっくりと歩き始め、ユウリ、フィアナ、カノンも続く。