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ユウリは目を開けた。目の前にフィアナの顔があった。気遣わしげに眉を顰めていたが、ユウリの覚醒に気づいてぱっと表情を明るくする。
「ユウリ! 気づいたのね! 良かった! 急に現れた
フィアナの口振りには心からの安堵が感じられた。
「そうだ! あの
あらゆる所に
「な、なんだよこれ! 一匹だけじゃないのか? どこもかしこも
ユウリがまくし立てると、フィアナは唇を強く結び厳しい表情になった。
「ユウリが昏倒してすぐ、近くにいたカノンがユウリを襲った奴を斬り伏せた。それで終わったと思ったんだけど、次々と黒の渦巻が発生して、そこから
フィアナは淀みなく状況を述べた。
「戦況はどうなんだ? ファルヴォスみたいな人型の奴はいないのか?」ユウリは続けて質問を投げかける。
「人型
説明を続けるフィアナの背後に黒色球体が発生。みるみるうちに大きさを増していく。
「フィアナ、後ろだ!」叫んだユウリはフィアナを突き飛ばした。フィアナは転びそうになりつつも、足を器用に動かして持ち直す。
次の瞬間、フィアナのいた位置を漆黒の火球が通過した。ユウリの肌に熱感が生じる。
火球は校舎に激突した。ボゴウ! 大きな音がして、レンガの一部が剥がれ落ちる。
ユウリはフィアナを攻撃した
通常の
「気をつけて! この
フィアナが危機感たっぷりに叫んだ。
ユウリは精神を集中し、目を閉じた。
「ユウリ、戦う気? でもあなた今、
フィアナが不安げに呟くと同時、尾長
ユウリは瞬時にバックステップ。射程の外へと逃れて躱した。近くではフィアナが、子ユリシスで作った障壁で尾を受け止めている。
(いや、使える。俺は、戦える! 戦って勝って、ルカが愛したルミラリアを守るんだ!)
心中で吠えながら、ユウリは詠唱を進める。
尾長
ほぼ同時、「
「ユウリ! あなた力が──」フィアナの弾んだ声がした。
ユウリは微笑で返答しつつ、長大な尾を引いていく尾長