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「
ユウリは声を張り上げた。教壇にはメイサの姿があり、泰然とした佇まいを見せている。
フィアナの打ち明け話の翌日だった。登校したユウリが着席し、他の者もすべて揃った後にメイサが入ってきて話し始めた。内容は、神話時代の
「そうだ。君も経験した
メイサは可憐な瞳でユウリを見据えつつ、朗々と語った。ユウリはごくりと唾を飲み込む。
「『俺も行くのかな?』とでも聞きたげな顔だな、ユウリ君。本当に心を読みやすい男だよ、君は」
おどけた調子のメイサの言葉に、ユウリは気恥ずかしい気持ちになる。
「遺憾ながら君は留守番だ。フィアナやシャウアも同様。参加者はエデリアとルミラリアの手練、合計二十名。少数精鋭で叩きのめす所存だ。ちなみに、私も出る」
高らかに言い放ち、メイサは小さな両手を華奢な腰に当てた。あまりにも知性を感じさせる眼差しを除けば、おすましする童女のような佇まいである。
「勘違いはするなよ。無論、最も大きな危険に晒されるのは私たち侵攻部隊だ。だが、隙を突いて
なぁに、心配する必要はない。先日のファルヴォス襲撃事件の反省を生かして、リスク低減のための策をあれこれ準備してある。……あのような痛ましい犠牲は、二度と出したくはないからな」
ルカの件に話が至ると、メイサの声音は一転、静かなものになった。ユウリは思い出してしまい、改めて気落ちする。
「私の話は以上だ」と締めて、メイサはゆっくりとした足取りで教室を出て行った。