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「……う、うん」地面に横たわったルカの口から小声が漏れた。
「ルカっ!」座位のユウリは思わず大声を出す。すぐ近くにはメイサ、シャウア、フィアナがおり、皆、注意深くルカを見つめていた。
ルカが目を開けた。「ここ……は──」可愛らしい声で呟き、さかんに目をパチクリさせる。
「
いたたまれない気持ちゆえ言葉は次第に尻すぼみになり、ユウリはばっと頭を下げた。
「ごめん、ルカ!
ぼろぼろと、ユウリは目からとめどなく涙が零れる。「ごめんなさい」と、隣のフィアナも沈んだ調子で謝った。
申し訳なさのあまりユウリは顔を上げられない。「お兄ちゃん、フィアナさん。良いから頭を上げなさい」怒ったような語調の声が掛かり、ユウリはゆっくりと姿勢を戻した。正座姿勢のルカが目の前にいた。小さな顔はむっとしており、愛らしい大きな瞳には今は厳しい趣がある。しかし。
ふっとルカは相好を崩した。「……ルカ?」呆気に取られたユウリはぽつりと呟く。
するとルカが迫ってきた。ユウリの胸部にルカの薄い胸が当たり、背中に柔らかい手の感触が生まれる。
「謝る必要なんてぜーんぜんないよ。二人とも身体を張って命を張って、わたしを怖い竜から守ってくれた。だからわたしも二人を助けた。誰にも強制されたわけじゃあない。助けたかったから助けた。ただそれだけ。それだけなんだよ?」
穏やかな、優しい、愛を込めた調子で、ルカは悠然と言葉を紡いだ。ルカに抱きしめられたユウリの胸は、じんわりと暖かいもので満ちていく。
「愛しい、愛しいよお兄ちゃん。わたし、お兄ちゃんの妹で、本当に良かった。私は世界一の幸せ者だよ」
(ルカっ!)ユウリは涙が止まらない。ルカの想いはあまりにも尊く、重く、清らかで純粋だった。
やがてルカはユウリから身体を離し、にこりと朗らかに笑った。
「よしっ! それでは麗しき兄妹愛の一幕はこの辺で終了! 皆々様、お待たせしました!」
歌うように言うと、ルカはすくりと立ち上がった。ユウリたちも続いて起立する。
「この時代の戦士たちは、ユウリたちが
メイサが静かに釘を刺した。ユウリたちは顔を見合わせ、ほぼ同時に歩き始めた。