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詠唱を済ませた二人は、
(初っぱなから全力だ!)決心したユウリは、「
バチ、ビリリと音を立てつつ、雷は円弧軌道で飛んでいく。
刹那、
(なっ──)ユウリは絶句する。半分ほどの大きさとなった
フィアナが槍を片手に駆け出した。戻ってきた雷をキャッチし、今度はユウリは両手で頭上から放った。点ではなく線で捉える軌道である。
「フィアナ上だ!」ユウリは必死に叫んだ。フィアナが即座に顔を上げる。
五ミルトほどの高度に達し、
すると、にゅるり。円の直交方向に四つ、何かが飛び出した。
四つの竜頭は口を開いた。するとその周囲に黒い渦が生じた。一秒も経たずに渦は収まり、口内に刺が無数に発生する。
「来るわよ!」フィアナが叫んだ。次の瞬間、竜頭は黒棘を発射した。
(
ユウリは
黒棘が止んだ。フィアナを見た。子ユリシスの盾で防いだ様子で、身体に損傷は見られなかった。
竜頭が引っ込み、
前方に跳んだ。前回りの要領で転がった。すぐ後ろでズウンと音がした。体勢を整えたユウリは起立し、振り返る。
「
斉射が止んだ。ユウリは敵の様子を注視し、目を瞠る。竜鱗には傷一つなく、依然として不気味に脈動し続けている。
「そんな、まったくのノーダメージだなんて……。今の私の最高火力の技を狭い範囲に集中させたのよ?」
呆然とした様のフィアナの口から言葉が漏れた。
「シャウア! こいつについて何か知ってたら教えてくれ!」
ユウリは敵に注意を向けつつ、シャウアに大声で尋ねた。
「悪いなユウリ! 詳しくは知らねえんだよ!
メイサの後ろに位置するシャウアが、両手を口元に当てて喚いた。
「了解!」と短く応じ、ユウリはフィアナに視線を移した。
「フィアナ! 敵の力が未知数過ぎる! しばらくは遠距離攻撃中心で行って、
ユウリが声を張り上げると、「わかった!」と、フィアナから良く通る声で返事が来た。
「