第二章
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「
ユウリは驚愕を口に出した。斜め下では、愛らしい見た目の女の子が愛らしさのかけらもない尊大な笑顔を浮かべている。ルミラリア士官学校の長、メイサである。
ケイジの神葬から三日経った放課後だった。授業を終えて帰宅しようとしたユウリを、メイサは呼び止めた。
「先日のケイジ・ラングレイ殺害の事件で、君と私はリグラムとファルヴォスという名の者と交戦しただろう。その報告を法皇庁に持っていくと、『神話時代の戦を記した書紀に、ファルヴォスに似たような者の記録があった』という返答が得られた。さらに協議した結果、我々は今後の
断定的な口振りで、メイサは言い切った。相変わらず発言内容とは裏腹に、声だけは童女のそれである。
「
「見かけに違わず情弱だな、ユウリ君。
おずおずとしたユウリの返答に、メイサはすかさず被せてきた。
「ちなみに参加者は五人だ。今回の件に関わった君とフィアナ嬢。
「シャウアもですか! またどうして?」ユウリは即座に問うた。
「そう焦らずとも説明するよ。せっかちは君の欠点の一つだ。直すよう心掛けるべきだな」
メイサの返事は不穏な口振りだった。口元こそ笑顔だが、目は笑っていない。
(しくじった! この人に口答えはやばい!)ユウリの背中に冷たいものが走る。
「公表はされていないが、実は
知的な声色でメイサは言葉を継いだ。怒涛の展開にユウリは言葉を失う。
「残り一人が気になるか? 当ててみろ。大ヒントは、君の目の前に佇んでいる比類無き才媛、だ」
メイサは可愛らしい腰に可愛らしい両手を当て、可愛らしくない眼差しでユウリを見据えた。
(それってヒントか? 答を言っちまってるじゃないかよ)
疑問を抱きつつユウリは、「メイサ先生も来てくれるんですか?」と怖々返答した。
「ご名答、大正解だ。まあ当然だな。私もファルヴォスらを目撃しているのだからな。
だが勘違いするなよ。法皇庁直々の特別任務だ。人任せにせず、全力で以て職務に当たるように」
上役然とした調子の命令が来た。「承知しました」とユウリはびしりと返す。
(言動は徹頭徹尾、上から目線。型破りでめちゃくちゃなところもあるけど、メイサ先生は基本的には面倒見の良い人だ。
ユウリはひそかに決心するのだった。