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存在しない暴力団による被害について
緋丸鋸
ホラー怪談
2024年09月14日
公開日
4,735文字
連載中
実在人物をモデルに、恐ろしい暴力団組長の話を書いていた男。だが数か月経った頃、おかしなことが男の身に起きはじめ……

忠告:怖いものを書いている人は、それが「来てしまう」可能性をちゃんと考えていますか?

第1話

「暴力団に脅迫を受けて困っている…というお話ですか?」


 私が話し出すと、霊能相談所の所長を務める男は困惑の表情を浮かべた。それはそうだろう。話の切り出し方が悪かった。暴力団被害であれば、霊能相談所ではなく警察に行くべきだと思うのは当然だ。


「いえ…違うんです。暴力団から被害を受けているというのは間違いありません。夜中にドアを叩かれたり、暴言が聞こえたり…けれど、おかしいんですよ。奴らは…存在しない暴力団のはずなんです」


「落ち着いて。落ち着いてください。貴方がなぜそう思ったのか、初めから順序立てて教えてください」


 所長は私を宥めるように言った。私はおかげでいくらかの冷静さを取り戻すと、事の発端に意識を戻した。

 そうだ、いったい何故こんなことになったのか…

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