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8.世間や社会がそうであるように、悪いことは新しい悪いことに塗り替えられます。

 有難いことに、私たちはまた元の円満家族同士となりました。

 私と大智君も前のように戻りました。ただ、私の男性恐怖症が原因で2人きりで飲む、ということは出来なくなりましたが、私と楓さん、旦那と大智君の仲は以前より深まったので、4人で子どもも交えて食べて、飲み、遊ぶ、というだけで充分楽しい時間を過ごせるので問題なしでした。一度、大智君から『たまには2人でこの前みたいに飲まないか?』と誘われましたが、『もう語り切ったから皆がいいな』と私が返して以降はそういったお誘いはなくなりました。


 さて、皆さんお気づきでしょうか。


 そうです、あの汚れた体の関係は全て別のことに覆いつくされなかったことになったのです。

 ええ、私の男性恐怖症により夫婦が不仲になりそれをなんとかすべく悪戦苦闘し回復する、という大事件で全てが塗り替えられたのです。


 なんて、なんて素晴らしいのでしょう。


 私がただただ表と裏の顔を分けて演技したらこうなったのですよ。

 仮面の使い分けとはなんて素晴らしいことでしょう。

 上手く使えば、思い通りに事を運ばせることが出来るのですよ。

 なんて、便利なのでしょうか。


 ああでも、決して、私のような真似はいたしませんように。

 だって、簡単なことではないんですもの。

 すごく疲れますし、とっても心を削らないといけませんもの。


 あ、ですが、皆を幸せにするためになら、多少は真似をしてもいいですよ。自分を犠牲にして周りの人間を幸せにするためなら、この上なく効率がいいのでしょうから。


 どうせ、汚れていない人間なんていないのでしょう?


 汚れているなら、きっと裏表を作るのは簡単ですよ。

 ただ、行き過ぎはよくありませんけどね。


 私みたいに。


 だって、ね?

 一度、人並よりも汚れてしまったらですね。



 イケるとこまで汚れてみたいと思っちゃうんですもの






 ああいけない。

 変な時に顔が緩んでしまいます。

 まだ興奮の余韻が冷めないうちは、冷静な悪女の仮面をかぶらないといけませんわね。

 ああ。

 私は、全てを手に入れて満足です。

 望むものがちゃんと手の中にあって嬉しいです。

 でも、欲に限界がないのもまた人間。

 だから、ね。


 いっそ、同性とドロドロになるのも面白いと思いませんか?


 だって、ほら、楓さんって、本当に純粋で綺麗で……宝石の原石のようではありませんか?

 それにいい匂いもしますし、柔らかいですし……もし、敏感な所を私が触れたらどんなお顔をされるのでしょうか。


 怯える顔?

 戸惑う顔?

 怒る顔?


 それとも、刺激に抗えなくて恥ずかしがったりしてくれるのかしら?


 ああ……ああ!

 想像するだけで胸が沸き立つとはまさにこのことです。

 でも慌ててはいけません。

 冷静に、じっくり考えて、私の作った極上の穴に落とすのです。

 私は罪に問われない安全な穴で待つのです。

 落ちてくるのを待ち、極上の笑顔で迎えてあげるのです。


 今まで私がそうしてきたように、ね。


 さぁ、お付き合いは長いのです。なんていったって私たちは円満家族で、これからも末永く仲睦まじく過ごす予定なのですから。



 なので、これからも、よろしくお願いしますね。フフ





 fin

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