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3.高校の時、私たちは両片思いだったそうです。

 BBQ依頼、私たちは家族ぐるみで何度も連絡を交わす仲となりました。元々、私と彼が知り合いということで始まった仲でしたから、お互いの伴侶公認で大智君と2人でお酒を飲むことができるようになりました。最初はお互い家庭があるからと1時間半だけ。次に、間を一ヶ月空けて、2時間。その次は、2週間程の間を空けて2時間半。本当にただ飲んで話すだけで、約束の時間に私たちが帰ってくるという信頼からか、もしくは、私も大智君もスッキリとした様子で帰ってくるからか、家庭内の空気も良くなりお互いの家庭が円満となっていったからでしょうか。気づけば、2人で飲むことが恒例行事のようになっていきました。学生時代に仲が良かった友人なら昔話に花を咲かせるのは見えないとこでやって貰った方がいい、という意見の一致が私の旦那と楓さんの間でもあったからそうなった、というのが大きかったのかもしれません。仲良くするのはいいけど、目の前でされると流石に嫉妬がどうしても付きまとってしまう、という理由からでした。嫉妬されるならば会わないにこしたことはないと思っていたのですが、どうやら旦那も楓さんも家族ぐるみで仲良くあり続けたいと思ってくれたようで、私と大智君の昔からの仲も大事にしてくれるとのことでした。


「お互い最強で最高にいい相手もったよな」

「ええ、本当に。身に余る光栄と思ってしまう程よ」

「俺、見る目あったわ」

「私も。おかげで、凄く幸せ」

「俺も俺も。学生時代の方が幸せとか思ってたけど、大人になった今の方が断然幸せだわ」


 家族ぐるみは1ヶ月に1回会って遊んだり食べたりと子どもと一緒に大人も大はしゃぎして、親での女同士男同士はどちらかが週に1回遊んだり、飲んだり。私たち2人きりは2カ月に1回という頻度で会って、思いっきり昔の思い出に花咲かせながらお酒をたしなみお喋りをするというルーティーンが決まったような日々は、この上なく幸せでした。

 とても健全で、穏やかで、言葉に表せない幸福を噛みしめる時間。周りの人間に恵まれているというのはまさにこういった状況のことを言うに違いありません。

 そして、それだけ会って飲んでいると次第に舌が肥えてきてしまうのは仕方がなく、最近は「美味しいお肉を食べる為」「今日はお魚」「今日は美味しい果実酒を求めて」と、お互いのパートナーに子どもをお願いして、電車などの交通機関を使い少し足を延ばして半日程の時間を要する居酒屋探しの旅に出る、という楽しみまでするようになっていました。




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