「は……? な、嘘っ……」
怪我はしていない。多分怪我はしていないはずだ。
それがアンリの魔法――あるいは
だけど痛いものは痛いし、苦しいものは苦しいのだ!
「大丈夫、お前のこともちゃんとよくするから」
「よくす……とかじゃなくてっ……ぁ、あ、待っ……!」
「アンリはどうだか知らねぇけど……俺は一緒に楽しもうって言ったんだぜ。出せなくても、ちゃんと気持ちよく、してやる……よっ」
望んでない!
「い……っあ、や、――っ!!」
ロイの屹立が構わず内壁を
「や、そこ、無理、無理っ……やめ、ばか、待っ……!!」
らしくなく、感情的に声を上げ、逃げたいように目の前の幹へと縋り付く。
けれども、そこに返ってくるのはハァハァというロイの呼吸音だけ。
だめだ。このばか犬、待てができない。
いつになく必死なリュシーの反応が、逆にロイを煽っていた。
ロイの充溢が無理矢理その先を綻ばせ、新たな環が開きかけた頃には、ロイの金の隻眼はそれはもうぎらっぎらで、爪も犬歯も伸びきっていた。
「やっ、あ、あぁっ……い、待っ……ひあぁっ」
リュシーの身体を背後から抱き締めるようにしながら、ロイは腰を抽挿させる。
いっそう嵩を増したロイの質量は半端なく、意図せずとも勝手にリュシーのいいところを突いてくる。
追い上げられるたび、リュシーの屹立も天を向く。出せないだけで、ちゃんと反応はするのだ。ただ根元を強く戒められているような感覚があり、うっすらと雫を浮かせることしかできないけれど。
「あ、やっ……そこ、触ん、なっ……!」
リュシーを抱き締めるロイの手が、ついでのように胸の先をひっかいてくる。
長く伸びた爪のおかげで、服の上からでも直に触れられているような――むしろそれを上回るほどの感覚に突起がますます固くなる。
「リュシー……もうちょっと、だから……っ」
(まだ
頭の中で蒼白となる一方で、躾けられた身体は次第に別方向へと舵を切る。
痛いのに、苦しいのに、それすら心地いいみたいに変換しはじめるのだ。
下肢が震える。腰が揺らめく。身体が勝手にロイに応えようとしてしまう。
「ぃ……っぁ、ああぁっ!!」
ロイがリュシーの両腕を取り、後ろに向けて強く引いた。
その瞬間、身体の中で、あり得ない音が聞こえた気がした。
「はい、った……」
ロイは僅かに顔を歪め、それから恍惚としたような表情を浮かべた。耳に残るリュシーの悲鳴すら、心地いいみたいに目を細める。
「……ほら、大丈夫だったろ?」
ロイは囁くように言って、口端を引き上げた。
目を閉じているリュシーにその
彼は今、ひどく高揚しているに違いない。
「な、にが……っ大丈夫、だよ……! ぅ、あ……!」
ロイはまだ動いていない。動いていないのに、上擦った声でそう漏らすだけでも歯の根が震える。
奥の奥からの感覚が鮮烈すぎて、怖いくらいに背筋が戦慄いた。
「アンリのおかげとは、思いたくねぇけど……」
「あ……ぁ、深……っ……」
引かれたままの腕が軋む。ロイが思い出したように、腰を動かした。