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契約魔法のせいで07

「は……? な、嘘っ……」


 怪我はしていない。多分怪我はしていないはずだ。

 それがアンリの魔法――あるいはしつけのせいだとしても、いまはそこには感謝しかない。

 だけど痛いものは痛いし、苦しいものは苦しいのだ!


「大丈夫、お前のこともちゃんとよくするから」

「よくす……とかじゃなくてっ……ぁ、あ、待っ……!」

「アンリはどうだか知らねぇけど……俺は一緒に楽しもうって言ったんだぜ。出せなくても、ちゃんと気持ちよく、してやる……よっ」


 望んでない!


「い……っあ、や、――っ!!」


 ロイの屹立が構わず内壁をこすり上げていく。絡みつく襞を引きずるようにして最奥へと突き当たれば、さらにそこを何度も小突く。アンリでさえはいったことのないその先を、当然のようにこじ開けようと躙ってくる。


「や、そこ、無理、無理っ……やめ、ばか、待っ……!!」


 らしくなく、感情的に声を上げ、逃げたいように目の前の幹へと縋り付く。

 けれども、そこに返ってくるのはハァハァというロイの呼吸音だけ。 


 だめだ。このばか犬、待てができない。


 いつになく必死なリュシーの反応が、逆にロイを煽っていた。

 ロイの充溢が無理矢理その先を綻ばせ、新たな環が開きかけた頃には、ロイの金の隻眼はそれはもうぎらっぎらで、爪も犬歯も伸びきっていた。


「やっ、あ、あぁっ……い、待っ……ひあぁっ」


 リュシーの身体を背後から抱き締めるようにしながら、ロイは腰を抽挿させる。

 いっそう嵩を増したロイの質量は半端なく、意図せずとも勝手にリュシーのいいところを突いてくる。


 追い上げられるたび、リュシーの屹立も天を向く。出せないだけで、ちゃんと反応はするのだ。ただ根元を強く戒められているような感覚があり、うっすらと雫を浮かせることしかできないけれど。


「あ、やっ……そこ、触ん、なっ……!」


 リュシーを抱き締めるロイの手が、ついでのように胸の先をひっかいてくる。

 長く伸びた爪のおかげで、服の上からでも直に触れられているような――むしろそれを上回るほどの感覚に突起がますます固くなる。


「リュシー……もうちょっと、だから……っ」


(まだはいりきってねぇのかよ……!)


 頭の中で蒼白となる一方で、躾けられた身体は次第に別方向へと舵を切る。

 痛いのに、苦しいのに、それすら心地いいみたいに変換しはじめるのだ。


 下肢が震える。腰が揺らめく。身体が勝手にロイに応えようとしてしまう。胎内なかが潤んで、和らいで、もっと奥へと誘うように蠕動し、ロイのそれを愛しいみたいに包み込む。


「ぃ……っぁ、ああぁっ!!」


 ロイがリュシーの両腕を取り、後ろに向けて強く引いた。

 その瞬間、身体の中で、あり得ない音が聞こえた気がした。


「はい、った……」


 ロイは僅かに顔を歪め、それから恍惚としたような表情を浮かべた。耳に残るリュシーの悲鳴すら、心地いいみたいに目を細める。


「……ほら、大丈夫だったろ?」


 ロイは囁くように言って、口端を引き上げた。

 目を閉じているリュシーにそのさまは見えないけれど、甘く掠れた声や息づかいから何となく想像はついた。

 彼は今、ひどく高揚しているに違いない。


「な、にが……っ大丈夫、だよ……! ぅ、あ……!」


 ロイはまだ動いていない。動いていないのに、上擦った声でそう漏らすだけでも歯の根が震える。

 奥の奥からの感覚が鮮烈すぎて、怖いくらいに背筋が戦慄いた。


「アンリのおかげとは、思いたくねぇけど……」

「あ……ぁ、深……っ……」


 引かれたままの腕が軋む。ロイが思い出したように、腰を動かした。

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