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第24話

 今日はみんなで普通に勉強した。加世子の死体を隠したらまた元の日常が戻ってくる。

 そしたらあたし達は受験生だ。死体は上手く隠せても受験に落ちたら元も子もない。

 それでも簡単に割り切れるわけもなく、あたしは終始三人を観察していた。

 特に異変もないまま図書館の閉まる五時になった。

 最近は終わればみんなでどこかに集まって暗くなるまで話し合っていたけど、今日は普通にそれぞれ予定があった。

 琴美は塾、菜子ちゃんも個人授業で街に向かい、うーみぃは実家の手伝いをするために帰った。

 あたしはもう誰に聞けばアリバイが保証されるか考えていた。

 琴美のが行ってる塾には中学の時の友達が行ってるからその子に聞けばいい。

 うーみぃの場合は旅館の従業員だ。何度か遊びに行ってるから顔なじみもいるし、板野さんに聞いてもいい。

 問題は菜子ちゃんだ。まずは個人授業の先生に聞いてみよう。仮に授業があったのに休んでいたらかなり怪しい。だけど本当になくて休みになった場合は変わってくる。喫茶店の従業員に聞いても覚えている可能性は低いだろう。

 う~ん。誰から聞こう。あんまり時間がないからなあ。なるべく効率をよくしないと。

 琴美と菜子ちゃんは街へ行けばいいから一緒の日に調べられる。うーみぃの旅館は自転車でも行けるけど街とは反対側だ。

 一番の問題は朧月にどうすれば行けるかだ。何の用もなしに一人で行って聞き込んでいたらどう考えても怪しい。うーみぃが犯人だったら真実に気づいたのかもと疑われるはずだ。かと言って行かないと話は聞けないし。

 一人になったあたしがどうしようかと悩んでいると着信音がした。もしかしたら考えてることが真犯人にバレたのかと思って一瞬ビクッとなる。

 スマホを取り出すとお母さんからの電話で、あたしはホッと一息ついた後どっと疲れた。

「……なに?」

「あんた今どこ?」

「え? コンビニだけど」

「じゃあもう勉強は終わったのね」

「うん。まあ……。でなに?」

「いやね。海ちゃんのお母さんから温泉の割引券もらったのよ。それで今日みんなで朧月まで行こうかって話になったの。お父さんは遅いから無理だって。あんたはどうする? 家でも勉強するの?」

 断る理由なんてなかった。千載一遇のチャンスだ。

「行く! 今から帰るから待ってて!」

 あたしはお母さんの返事も聞かずに自転車のペダルを勢いよく回した。

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