目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第22話

 翌日。八月八日。

 あたしは少し眠く思いながら朝ご飯を食べていた。

 前の夜、あたしはどうしたら犯人が分かるのかを考えた。

 直接聞いてみるなんてことも考えたけど、教えてくれるはずがない。

 そうなるとあたしが考えられる方法は一つだけだ。

 加世子が殺されたと思われる八月三日の午後にアリバイがない人を探すしかない。

 うーみぃが言ってたことが本当なら犯行時刻はあたし達が別れた五時頃から日が落ちる七時過ぎまでの二時間ちょっとってことになる。その間に加世子を殺せたのは誰だろう?

 えっと、たしかあの日琴美は塾で、うーみぃは家のお手伝い。それに菜子ちゃんは個人授業がなくなって喫茶店で勉強してたはずだ。

 う~ん。みんな怪しい。街まではバスで三十分だ。往復なら一時間。

 琴美は原付があるからそれで行って戻れるだろうし。

 たしか街行きのバスで最後の便が七時頃にあった。だから一旦街に行ってからこっちに戻って、また街に戻ることは可能だ。つまり菜子ちゃんの可能性もあった。

 うーみぃの家から廃工場までは自転車で十五分ほどしか離れてない。それなら休憩時間とかに抜け出すこともできるかもしれない。

 ……どうしよう。考えれば考えるほどみんなが怪しく思える。

 それにもしかしたらまったく知らない他の誰かが犯人かもしれないし……。

 その可能性は限りなく低いだろうけど、そうであってほしいと願ってしまう。

 犯人か分からないから誰にも頼れない。あたしが疑ってることがバレたら最悪加世子みたいに殺されるかもしれない。

 怖い……。でもあたしの中に生まれたこの感情は恐怖を上回っていた。

 知りたい。そしてちゃんと言うんだ。こんなことダメだって。

 あたし達は親友なんだから。

 昨日色々ありすぎて今日はお腹がペコペコだ。あたしはごはんをおかわりして今後に備えた。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?