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053 永遠

五三 永遠


 サマーコンサート、そしてその夜も、その朝もすぎた。

 わたしと高志は公認のカップルとして、すでにどこへ行っても余人の口を挟ませる隙間のないほどであった。週末はそれぞれの家を交替で行き来するようになり、前期試験の時に約束していた家庭教師も、図書館だけではなくそれぞれのアパートで教えることになった。

 ほかの団員にもカップルはひと組ふた組あったが、その上でも、入学当初のわたしを見たり知ったりする者などにしては、口をそろえて、まさか、という組み合わせだった(わたし自身、大学で――ともすれば人生で――恋をするなんて予想もしていなかった)。もちろん周りの、吉川の目があることは分かっていたし、遠慮会釈なく睦びあうことはしなかったが。恥じらいも道徳もある身という自負で、もっぱら互いの家で人目を気にせず触れ合いを持った。

 今思い返せば、わたしの人生における奇蹟のような時間であった。高志とわたしも「ずっとこうしていたいね」といい、それが叶うものだと疑いもしなかった。夜になればカーテンを閉め、口づけをしながら部屋を暗くする。


「わたし、慣れてきた気がする」高志は焦らず、時間をかけてなじませてくれたので当初の痛みも少しずつだが和らいでゆき、心地よさも感じられるようになった。「ゆっくりでいいんだよ、時間はいくらでもあるんだから」

 高志は動きを止め、見つめあう。その首に手をかけわたしはぐっと引き寄せ、口止めをする。とたんに奥まで入ってしまい、うめき声を発してしまう。「やめないで、続けて。大丈夫だから」

「じわじわやってみるよ。別にこれが最後じゃないんだから」とやや迷いのある声ではありながらも、かれはやさしく導いた。これが天国であるなら、ずっとこうしていたい。終わりもない、永遠である天国ならば。

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