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スタッフへの思い 5

「それは私たちの公休日に行けばいいじゃない。お店はお正月以外は無休だけど、私たちも含め、みんなでスケジュールを調整して休んでいるし、それを利用すれば良いわ」

 美津子が言った。私もそれは考えていたが、相手側の問題がある。私たちの休みに合わせて学校の話を聞きに行くことが可能かどうかだ。

「それは俺も考えていた。でも、俺たちの休みに合わせて伺うことはできるかな? 先方にも予定があるだろうし、俺たちの都合だけで決められるわけじゃない」

「それもそうね。でもそれはここで話していても仕方ないし、明日、学校に電話してみましょうよ。スケジュールが合えば一番だけど、もし無理そうなら、その時に考えましょう」

 現実的な答えだった。今、自分たちだけで考えていても結論は出ないし、もしかするとお世話になるかもしれないところに、私たちの都合を押し付けるような失礼な真似はできない。

「じゃあ、スケジュールが合わない場合はどうする?」

 私は再び美津子に訊ねた。

「そういうこともあるだろうし、そのほうが可能性、高いかもしれないわね。その時は矢島君や中村君に休みのことを相談し、うまく調整するしかないわね。2人で出かける用が入った、ということなら問題ないんじゃない? 実際、その通りなんだし・・・」

「そうだね。でも、みんなに何も話さないで俺たちの事情だけで休みを取るというのはちょっと心苦しいかな」

 私は顔を少し曇らせながら言った。他のことならともかく、私たちの転職に関わるかもしれないことで休んで、しかもその理由を話さない、というところに少し後ろめたさを感じたのだ。

「でも、まだ決まったわけじゃないし、あくまでも情報集めでしょう。本当に決めた後ならばきちんと話さなければならないけれど、話を聞きに行くだけなので、あまり考えすぎなくても良いんじゃない? そんな感じだったら前に進まないと思うわ。この話、もともとあなたからのことでしょう。物事を決める時にはいろいろ考えなくてはならないと思うけれど、やることをやり、最終的に決断すれは良いと思う。学校に話を聞きに行くのはそのための行動の一つだし、その上で決心したら、そこから本当に皆に腹を割って話さなければならないと思うわ」

 まさに美津子の言う通りだ。私も相談される側だったら同じように言うだろうが、それが自分のことだったらいろいろ迷いが出る。改めて立場の違いで考え方にもふらつきが出る、ということを実感した。

 同時に、今の段階で意識がふらつくようだったら、転職という段階ではもっと考えが揺らぐかもしれないとも思った。でも、今の美津子の意見で目が覚めた感じがした。まだ、本当に癒しの世界に転職するかどうかは決めかねているところがあるが、心の中では決断の針がどちらに触れるか落ち着かない状態だ。学校で話を聞いたら本気で決心しなければならないが、その上で止めるという選択肢もある。いずれにしても明日、学校に電話して、話を伺う機会を作った上でということで私たちの話は終わった。


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