俺たちはほかの本にも一通り目を通したのち、案内された部屋で休憩していた。本棚が無数にありいくつかの本を読み漁っていたら扉をノックされフィーアが入ってきた。
「何の用だ?」
俺はフィーアに聞くとフィーアは簡潔に言う。
「あなたたち…ここに住む気はないかしら?」
「ないな」
俺は即答する。シャーリも住む気はないと首を振っていた。
「そう…なら泊まっていくのはどうかしら?」
フィーアは少し考えたのちその提案を口にする。住むのはまだしも泊まっていくのならいいかもしれない。そこまで考えてふと疑問に思ったことをこぼす。
「なんでお前は俺たちをここにとどまらせようとしてるんだ?」
するとフィーアは一瞬目をそらした。だがすぐに返答は帰ってきた。
「そもそも魔女の家というのは一番力を持つ魔女が管理するの。だからお師匠様たちがここの管理をするのはごく自然なこと…私もお師匠様たちにここの管理をやってもらいたいわ」
より管理する魔女の力が強ければ強いほど防衛力も高まるでしょ?と…フィーアは言う。
確かに一理ある。だがどうも目の前の魔女は何かを隠しているようだ。
「数日間だけなら問題ない。ただすぐにここを後にするぞ」
他の魔女とも会わなければいけないからなと付け加える。
「私は久しぶりにお師匠様とお話がしたいわ」
いつの間にか用意されていたお茶を口にしながらフィーアは言う。
師弟関係のフィーアとシャーリ。この二人の関係が結ばれたのは俺がいなかったときだろう。
それだけ前となると積もる話もある…か。
「俺は少し外に出てくる。ゆっくり話すといい」
俺はそう言って一人で魔女の家を出るのだった。