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魔女の家

森を進んでいると小さな小屋にたどり着いていた。




「この気配…魔女か」




俺はシャーリのほうを見る。シャーリも気配を感じたようで魔法を展開しようとしていた。


そんな時だった。




「誰…?」




小屋の中から一人の女…魔女が出てきた。


黒い魔力を身にまとい服を形成していく女。髪は長く、それでいて手入れがされているであろう美しい黒髪をなびかせて魔女はこちらに歩み寄ってくる。




「俺はレンだ…こっちは魔女のシャーリ」




その言葉を聞いて魔女は雰囲気を変えた。




「シャーリ…もしかして大罪魔女・色欲のシャーリ?」




その問いにシャーリは首を縦に振る。




「へぇ…あなたみたいな大物がこんな辺鄙な魔女の家にねぇ…」




すると魔女は今度は俺のほうを見る。すると魔女は一瞬驚いた表情を浮かべ俺に問いかけてきた。




「あなた…魔女の核を持っているの…?」




名も知らぬ魔女はそう俺に確かに聞いてきた。


どうやら魔女は魔女の核を見透かすことができるらしい。




「ああ。俺はシャーリの核を取り込んでいるからな。魔法も使える」




俺の答えに魔女はますます意味が分からないと顔をしかめた。だがすぐに考えるのをやめたのか、笑い飛ばした。




「なるほど!色欲の魔女たる所以はそこね!大罪魔女シャーリ」




大罪魔女…大きな力を持ちながら重罪を犯した魔女に与えられる称号。だが持っているからと言って魔女に殺されるわけでもないため、今では力の強さの証たる二つ名の一種に過ぎない。




そんな呼び方をするということは…この魔女はシャーリには敵意がないようだ。ただ…




「興味深いわ…そこの君、名前は?」




「俺はレンだ」




「そう…レン君ね…君…」




先の言葉が聞こえる前に俺は身をかがめる。


その刹那鋭利な形を取った魔力が俺の頭があった位置を通過する。




「あなた…どうやって持ち主を殺さず核を取り込んだの?」




さっきまでの顔はどこへやら、冷ややかな目でこちらをにらんでくる魔女。それは魔女の名にふさわしい威圧感と風格を兼ね備えている。




「なぜ殺してないとわかる?」




「核がある限り魔女は死なない。故にふつうは取り込むことなんて不可能…つまり魔女を生かしたまま核を取り出したことになる」




魔女にとっての核は人間でいうところの心臓と同じだ。心臓を抜き取られればすぐに死ぬ人間のように、魔女も核を取り除かれれば死ぬ。だが魔女が死ねばかくも消滅する。だからあり得ないとこの魔女は言っているのだろう。




「さぁな…」




俺がそうつぶやいた瞬間猛スピードで顔面目掛けてナイフが飛んできた。そのナイフは俺の顔に刺さる直前で一人の少女によって止められたのだった。

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