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魔女と人間

鎧男の大剣を素手でさばきながら時間を稼ぐ。娘と魔女を視界に入れつつ時間を稼ぐことに集中する。




「なぜおまえは魔女の力を使える?」




男は器用にも戦闘中に会話を始める。




(会話で息切れを狙っているのか)




そう解釈し俺は男の問いを無視し、体をひねり男の兜を勢いよく蹴り飛ばす。




「やはり…お前魔女の力を使っているな?」




大剣の男は蹴り飛ばされた勢いで少し後ろに飛び距離を開けた。




「その目…教会の司教か…」




あらわになった男の顔をみて俺はそうこぼす。


教会…魔女狩りを推進している宗教団体でその中で司教と言われる地位のものは霊眼れいがんと呼ばれる特殊な目を保有していると聞く。司教は片目で大司教というさらに上の地位のものは両目が霊眼れいがんになるらしいが…目の前の男は片目だ。




「≪魔法付与エンチャント≫」




懐からナイフを取り出し俺が詠唱すると黒い霧がナイフの刃を覆う。


それを見た男が開けていた距離を詰めナイフを狙い剣をふるうが俺はそれをかわしナイフを投げる。そのナイフが刺さったのは司教はなく頭部を切られ衰弱しきって気絶していた魔女の女の体だった。




「そういうことか」




すると司教はご自慢の大剣を女の体に向かって投げる。




(なるほど…最適解だな…まぁ少し遅いが)




俺はその剣が白銀の髪を持つ魔女に止められていることを確認する。




「来たか…そいつらを任せた」




俺は剣を止めた魔女…シャーリにそう告げると男の腹部に強化した拳を叩き込む。




さすがに鎧のせいで硬いが少しはダメージは入っただろう。シャーリが気絶している女と娘を黒い霧で覆いこの場から消えたことを確認し俺は左手を口元に持ってくる。




「≪魔力解放≫」




そう詠唱すると左手から…正確には左手の薬指にある指輪から黒い霧が噴き出す。その霧は司教と俺がいるこの空間をゆっくりと囲む。司教は黒い霧を黒い霧を警戒しているのかなかなか攻めてこない。


まぁ…司教が見たことないのはうなずけるが、あたりを囲んだ時点で終わりの初見殺しだとは思っていないだろう。




「≪魔力硬化≫」




そう詠唱した瞬間、司教の背後の霧から黒く鋭い棘のようなものが司教の首めがけて伸びた。司教はそれをかろうじてかわすが体制をを崩し、俺の蹴りをもろに受け後方に…霧のほうに吹っ飛ぶ。その瞬間、黒い霧は同じように棘に変質し、男を串刺しにした。




「司教ってこんなにも弱かったか…まぁいいか」




俺は司教が絶命していることを確認して落としたローブを着なおして、シャーリのもとに急いで向かうのだった。

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