「…朝か…」
眠気眼をこすりながら昨日の記憶を掘り返す。
「レン…魔女の気配がある」
シャーリはすでに起きていたようで窓の外を見ている。
「行ってみるか」
急いで身支度を済ませ、気配をたどって人が集まっている中央広場に向かう。
~中央広場~
「これはすごいな…」
中央広場には子供が1人。明らかに魔女としての覚醒はしていないだろう人間だ。シャーリが言っている魔女の反応もあの娘ではないだろう。
「この娘は魔女と共謀しこの町で盗みを働いていた!よって教会の法令に従い火あぶりの刑に処す!!」
そう叫ぶのは衛兵か騎士か…いずれにせよ魔女との共謀で死罪とは…厳しい世の中になったものだ。
「シャーリ…いけるか?」
「了解」
俺の呼びかけと同時、シャーリが俺の首元を噛んだ。同時シャーリ…いや、魔女の片鱗が見える。
黒い霧が噴出したと思えば、シャーリの服は今までのローブとは違い漆黒のロリータ服になっており白銀の髪があらわになる。さらに魔女の証ともいえるシャーリの十字架型の羽を身にまとわせて少女のほうを見ている。
「この町の外で合流だ」
「わかった」
シャーリに合図を出すと俺は少女のほうに走り出す。同時にシャーリは空中を浮遊し同じく少女のほうに移動している。
「魔女だ!」
上空を指さし誰かが叫んだ。魔女は人を殺し生気を食らう。そんな生き物が自分たちエサの上空を飛んでるんだ。パニックにならないほうがおかしい。
「あせるな!目的はこの娘の救出だ!防御陣形!!」
鎧を着た人間が号令をかける。即座に指揮をとれる優秀な人間がいるようだがシャーリなら大丈夫だろう。
「うん?」
人間たちが注目が集まった瞬間、人影に少女が連れ去られた。
この村の民衆にわざわざあの娘を助ける理由はない。だとすると…
「例の魔女か」
俺はその人影をすぐに追うのだった。