現実世界に戻ってくる。
時間は15時ぐらいだった。
6倍速だから、ゲーム内の昼間12時間が現実時間で2時間ぐらいなのだ。
「お兄ちゃーん」
「ワイちゃん、ただいま」
「あ、うん。おかえり」
お互いリアルへの帰還の挨拶をする。
「それじゃあ、おやつにしようか」
「うん、お兄ちゃん何あったっけ?」
「えっと、今日はじゃあ、クッキーがあったかな、
「いいの、いいの、おかまいなしで」
「そう? じゃあクッキーにするね」
クッキーと冷蔵庫に入れてある冷茶を出す。
「いただきます」
「「いただきます」」
なんか女の子とお茶会とか、緊張するな。
それも美少女の沙理ちゃんと一緒とか。
クッキーといっても市販の量産品だ。
「んっ、チョコチップおいしいね」
「うん」
クッキーにはチョコが散りばめられている。
多すぎず少なすぎず、ちょうどいい具合に甘味があっておいしい。
リアルでは食べると太ってしまうけど、甘いものは捨てがたい。
さすがに笑顔で幸せそうに食べてる女の子に「食べると太る」とか口が裂けても言えないけど。
まだ殺されたくない。
妹と沙理ちゃんの会話が長い。
テレビを見つつ、おしゃべりしていたら、あっという間に2時間が経過、またログインする時間になった。
「じゃあお兄ちゃんまた向こうで」
「ワイちゃん、よろしく」
「うん、では、ログインしようか」
部屋の前で別れて、自分のベッドでログインする。
現実2時間経過で、だいたい朝になる。
噴水広場は朝日がきれいだ。
水に光が反射して、キラキラしている。
空気もなんだか澄んでいて、現実との違いを感じる。
もっともこっちの世界はアニメ調なんだけど。
ぶーん。
「やあ、ワイちゃん、おはよう」
先にリズちゃんがログインしてきた。
「それじゃあ、ぎゅってしよう」
ぎゅう。
おっぱいが圧倒的に柔らかい。
その気持ちよさは、忘れられない。
なんだかくらくらするいい匂いもする。
「ぷはぁ」
リズちゃんが満足して離れていく。
ワイ分を補給しているのは彼女のほうだけど、なんだか僕もリズ分を補給している気がしてくる。
ぶーん。
今度は青髪のロリドワーフが転送されてくる。
妹のアルテミス、アルテだ。
「お兄ちゃん、相変わらずかわいい!」
「ちょっ」
「違った、お姉ちゃんだったあ」
頭をぐりぐり押し付けてくる。
妹に胸はない。
まあこういうのも可愛いといえば可愛い。
「よしっ。でははーい。森へ出発したいと思います」
「「はーい」」
リズちゃんの司会で進む。
「ワープしよう、ミランダ橋ね」
「はーい」
「はいにゃん」
僕たちはまたワープポータルを利用する。
マップの天空飛行を経由して、ミランダ橋に出現する。
「あ、先にまず1つめね。妹ちゃん、フレンドリスト登録してないよね」
「あ、うんにゃ」
「登録しましょ」
ということで僕とリズちゃんは、妹[アルテミス]とフレンドになった。
「改めて、よろしくお願いしますにゃん」
「はいはい、よろ」
「はい、よろしくね」
石橋で川を渡ったら、こちらも平原なのだけど、ちょっと様子が違う。
道はそのまま平原の向こうで森に入っていく。
道沿いに進んでいくけど、敵も少ないものの道にいる。
「まずはナメクジなのね」
「そうにゃんね」
「うおお」
敵は『ラージスラッグLv12』。
ラージは大きい、スラッグはナメクジ。
妙に黄色いナメクジが気持ち悪い。
でかい。人間ぐらいの大きさがある。
そのナメクジがたくさん、ばらばらに平原にいる。
「うおおおお」
僕は気合を入れて、ナメクジを攻撃する。
「はいはい、ファイア!」
リズちゃんも加勢してくれる。
「ひやあああああ、くそおおお、にゃあああ」
妹も決死の覚悟で、ナメクジに攻撃を加える。
あーそういえば妹はナメクジだめなんだっけ。
ナメクジの反撃。
ナメクジにはリアルのものにはない触手がついていて、それをムチのように使って攻撃。
「ぴきゅぅ」
ミミちゃんにヒット。ミミちゃんは一発退場だった。
有料の即ペット復活剤とかも持っていないので、30分のペナルティだ。
ナメクジに攻撃、そして反撃される。
寄りにもよって、今度は妹がタゲられて、触手がヒット。
「ひやああああ、やだああ」
もう絶叫だ。可哀想に。
反撃すること3回、何とか倒すことができた。
それからナメクジと戦闘すること5匹。
最後のナメクジはまた妹をタゲって触手に捕まれてしまう。
「やああ、ねばねばするう、うぅぅう、にゃああ」
触手にはナメクジ粘液が出ており、なんかねばねばして妹をす巻きにしている。
「お兄ちゃん、早くやっつけてえええ、キモいにゃああ」
「おお、待ってろ、ファイア!」
俺もファイアを使って攻撃、さらに剣で追撃する。
はあはあ、なんとかやっつけられた。
「あ、レアドロップ」
ドロップ『ラージスラッグのカード』。
ナメクジが消えて、妹も拘束から解放される。
「もう、ナメクジ大嫌いにゃあああ。いやあああああ」
妹は泣きが入っている。
「わ、わかったわ、無視して進みましょ」
「あ、うん……」
「にゃぁ」
ナメクジだけに動きは遅い。
だから、相手をせず、横を通って進んでも問題なかった、らしい。
なら最初から無視して進めばよかったのでは、と思わなくもない。
ただし戦闘してみないと相性とかはわからないので、何とも言えない。