フィールドに出てきた。
妹の戦闘を見守ろう。
ついでに、ミミちゃんもサポートに入れる。
ミミちゃんは初戦闘だ。
「アルテミス、いきま~す」
妹のキャラ名は、アルテミスだった。
とりあえず「アルテ」と呼ぼう。
妹が攻撃する。まだ攻撃力が足りない。敵のHPは半分ぐらいになった。
ミミちゃんが攻撃する。スライム同士だけど、ミミちゃんのほうがちょっと強いらしく、敵のHPを全体の4割減らし、残りは1割だ。
「もう一回」
妹が追撃を入れ、スライムを亡き者にする。
「やったにゃん、にゃんにゃん」
「すごいわ」
「よくやったぞ、アルテ」
別に主義があるわけではないけど、褒めて伸ばしたほうがいい感じだろう。
『称号[珍魔物調教師]を取得しました』
なんだろう。あっわかった。
これはレアモンスのミミちゃんの調教師だからだ。
今のタイミングなのは、きっと「レアモンスターをテイムする」のと「レアモンスターを戦闘させる」という条件があるんだろう。
もしかしたら「初めてのテイムでレアモンスターを取得する」とかもあるかもしれない。
「見てみて、称号取得したよー」
称号画面から選択する。
珍魔物調教師の効果は「防御+3 テイムモンスター攻撃力+3 テイムモンスター防御力+3、保有効果:防御+1」だった。
このゲームでは、1つだけ表示の称号をセットできて、その効果が適用される。
そして、保有効果といって持っているだけで効果が出る補正があるみたい。
称号はマーカーと一緒に表示される仕様なので、他の人からも見えるはず。
マーカー『珍魔物調教師ワイリス』って具合ですな。
もちろん区別されるように名前は白、称号は黄色になっている。
ちなみに「初心冒険者リズエラ」、「初心冒険者アルテミス」と見えている。
僕もさっきまで、初心冒険者だった。
初心冒険者の補正は「防御力+3」だ。
「すごいお姉ちゃん」
「ほーう、ワイちゃん、それレア称号? 初めて見るんだけど」
「え、これ見たことないの?」
「うん」
「すごいじゃん、お姉ちゃん、やったやったにゃん」
なるほど、これはすごいらしい。
でもまあ、補正はちょっと高いのかもしれないけど、普通といえば普通だ。
その後も、アルテとミミの戦闘訓練が続いた。
ドロップの回収はハリネズミちゃんがしてくれる。かわいい。
そしてだいぶ移動したところ、一本の木が気になった。
「ねえ、これ、レモンの木じゃない?」
「さすがワイリスちゃんね、そう見えるわ」
「なににゃん?」
スライムを倒した後だけど、この木の周りの狭い範囲は敵がポップしないのか、いない。
「レモンの木だよ、レモンの木。実がなってるでしょ」
「うん」
「みんなで採ろう」
「おーお」
「わーい、にゃん」
こうして手分けして、レモンを採る。
う、僕たちはみんな背が低いから、上のほうが届かない。
「ちょっとワイちゃん、下になって」
「うん」
リズちゃんを肩車する。
そんなには、重くない。
でもミニスカートだよね、うぅ、後ろ見たらパンツ見えるかも。
首をホールドしてくる生太ももの感触が。
ドキドキする。
おっと、バランスが。なかなか難しい。
その間も、つぎつぎと上のほうのレモンを採っていく。
どんどん実が集まる。
上のほうを除いて、実をほとんど収穫した。
「ちょっと残ってるけど、鳥さんとかが食べるかもね」
「そうにゃんね」
何事もほどほどにだろうか。
また戦闘に戻る。
まずはグリーンスライムを難なく倒せるようになって、一人前なのだ。だばあ。
チャチャーン。
妹の頭の上に「LvUp」という表示がエフェクト付きで浮かんで消える。
「あ、おめでとう~」
「妹ちゃん、おめでとう~」
「わわ、ありがとう、にゃん」
僕とリズちゃんが戦闘した時も、たまにこうやってレベルアップするけど、おめでとうと言い合っている。
最初にレベルアップしたときが、もうずっと前な気がしてくる。
レベルが上がると、HP、MP全回復と、最大HP、最大MP、基礎攻撃力、基礎防御力がちょっと上がる。
妹はすごくうれしそうだ。
最初のレベルアップとか、やっぱりすごく楽しいよね。
ゲームではこういう定期的なレベルアップなどを「報酬」と言ったりする。
定期的に報酬がないゲームは飽きやすく、つまらないんだとか。
他にはレアアイテムのドロップとかが報酬なんだと思う。