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23 称号


 フィールドに出てきた。

 妹の戦闘を見守ろう。


 ついでに、ミミちゃんもサポートに入れる。

 ミミちゃんは初戦闘だ。


「アルテミス、いきま~す」


 妹のキャラ名は、アルテミスだった。

 とりあえず「アルテ」と呼ぼう。


 妹が攻撃する。まだ攻撃力が足りない。敵のHPは半分ぐらいになった。


 ミミちゃんが攻撃する。スライム同士だけど、ミミちゃんのほうがちょっと強いらしく、敵のHPを全体の4割減らし、残りは1割だ。


「もう一回」


 妹が追撃を入れ、スライムを亡き者にする。


「やったにゃん、にゃんにゃん」


「すごいわ」

「よくやったぞ、アルテ」


 別に主義があるわけではないけど、褒めて伸ばしたほうがいい感じだろう。


『称号[珍魔物調教師]を取得しました』


 なんだろう。あっわかった。


 これはレアモンスのミミちゃんの調教師だからだ。

 今のタイミングなのは、きっと「レアモンスターをテイムする」のと「レアモンスターを戦闘させる」という条件があるんだろう。

 もしかしたら「初めてのテイムでレアモンスターを取得する」とかもあるかもしれない。


「見てみて、称号取得したよー」


 称号画面から選択する。

 珍魔物調教師の効果は「防御+3 テイムモンスター攻撃力+3 テイムモンスター防御力+3、保有効果:防御+1」だった。

 このゲームでは、1つだけ表示の称号をセットできて、その効果が適用される。

 そして、保有効果といって持っているだけで効果が出る補正があるみたい。


 称号はマーカーと一緒に表示される仕様なので、他の人からも見えるはず。

 マーカー『珍魔物調教師ワイリス』って具合ですな。

 もちろん区別されるように名前は白、称号は黄色になっている。


 ちなみに「初心冒険者リズエラ」、「初心冒険者アルテミス」と見えている。

 僕もさっきまで、初心冒険者だった。

 初心冒険者の補正は「防御力+3」だ。


「すごいお姉ちゃん」

「ほーう、ワイちゃん、それレア称号? 初めて見るんだけど」

「え、これ見たことないの?」

「うん」

「すごいじゃん、お姉ちゃん、やったやったにゃん」


 なるほど、これはすごいらしい。

 でもまあ、補正はちょっと高いのかもしれないけど、普通といえば普通だ。




 その後も、アルテとミミの戦闘訓練が続いた。

 ドロップの回収はハリネズミちゃんがしてくれる。かわいい。


 そしてだいぶ移動したところ、一本の木が気になった。


「ねえ、これ、レモンの木じゃない?」

「さすがワイリスちゃんね、そう見えるわ」

「なににゃん?」


 スライムを倒した後だけど、この木の周りの狭い範囲は敵がポップしないのか、いない。


「レモンの木だよ、レモンの木。実がなってるでしょ」

「うん」


「みんなで採ろう」

「おーお」

「わーい、にゃん」


 こうして手分けして、レモンを採る。

 う、僕たちはみんな背が低いから、上のほうが届かない。


「ちょっとワイちゃん、下になって」

「うん」


 リズちゃんを肩車する。

 そんなには、重くない。

 でもミニスカートだよね、うぅ、後ろ見たらパンツ見えるかも。

 首をホールドしてくる生太ももの感触が。


 ドキドキする。


 おっと、バランスが。なかなか難しい。


 その間も、つぎつぎと上のほうのレモンを採っていく。


 どんどん実が集まる。


 上のほうを除いて、実をほとんど収穫した。


「ちょっと残ってるけど、鳥さんとかが食べるかもね」

「そうにゃんね」


 何事もほどほどにだろうか。


 また戦闘に戻る。

 まずはグリーンスライムを難なく倒せるようになって、一人前なのだ。だばあ。


 チャチャーン。


 妹の頭の上に「LvUp」という表示がエフェクト付きで浮かんで消える。


「あ、おめでとう~」

「妹ちゃん、おめでとう~」


「わわ、ありがとう、にゃん」


 僕とリズちゃんが戦闘した時も、たまにこうやってレベルアップするけど、おめでとうと言い合っている。

 最初にレベルアップしたときが、もうずっと前な気がしてくる。


 レベルが上がると、HP、MP全回復と、最大HP、最大MP、基礎攻撃力、基礎防御力がちょっと上がる。


 妹はすごくうれしそうだ。

 最初のレベルアップとか、やっぱりすごく楽しいよね。


 ゲームではこういう定期的なレベルアップなどを「報酬」と言ったりする。

 定期的に報酬がないゲームは飽きやすく、つまらないんだとか。

 他にはレアアイテムのドロップとかが報酬なんだと思う。


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