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22 妹参戦


「串焼き、6本ください」

「あらあら、いっぱい食べるのね」

「はい、いや、向こうの子と一緒に」

「まあまあ」


 串焼き屋のおばちゃんに、不思議がられてしまった。

 さっき食べたのに、まだ食べる子なのかと思われたみたいだった。


 ちなみにこのおばちゃんはパトリシアLv25、NPCさんだ。

 というか何気にレベル高いよね?


 絶対にやらないけど、このおばちゃんと戦闘になったら、一瞬で殺されちゃうわ。

 おばちゃんが素手でも勝てそうにない。


 屋台から戻ってきて、リズちゃんにお肉を分ける。


「ありがとう~」

「ううん、別に大丈夫」


 リズちゃんとはお金の半分折半のお約束を普段はしているので、何かあったときはお互いさまなのだ。


 リズちゃんがお肉をニッコニコしながら食べているところをそっと見る。


「どうしたの?」


 顔を眺めてたらなんだかうれしそうに聞かれた。


「ううん、別に。リズちゃんうれしそうだから」

「えっへへ、他人のお金でお肉食べるのって楽しいなって」

「あーもうっ」

「あはははは」


 また、からかわれたらしい。




 しばらくリズちゃんと適当に話をして、過ごした。

 そういうのは、得意とまでは言えないけど、待ちなのはどうしようもない。


 ブーン。


 そこに青髪のなんだろう、ロリドワーフ?が転送されてきた。

 ああああ、顔が義妹の顔してる。


 アニメ調だから違和感は減っているけど、どう見ても義妹だ。特徴が出ている。


 目が大きい。顔が丸い。顔が僕たちの中で一番本物のロリっぽい。

 端的に言えば、可愛い。


「あれえ、お兄ちゃん? あれ、お姉ちゃん??」

「あ、うん、そうだった」


 そうなのだ。僕は今、お姉ちゃんなのだ。

 なんだか混乱してきたぞ。


「それでおね兄ちゃん?」

「いや、おね兄ちゃんって呼ぶなら、お姉ちゃんでもういいよ」


「えへへへ。じゃあこっちではお姉ちゃんって呼ぶにゃんね」

「あ、うん」


 あぁああ、義妹がさささって近づいてくる。

 というか「にゃんね」って何。

 近いっ。


 ぎゅぅ。


 ぺったんこだな。何がとは言わない。

 でも温かい。なんだか懐かしい気もする。


 小さいころは、こうやってよく二人でくっついて、お母さんが近所のスーパーに買い物に行っている間は待っていたっけ。


 しばらくしたら満足して、離れていく。

 ちょっとだけ寂しくなる。


「えへへへ」

「こ、こここ、ナンデモナイヨ」


 コラって言おうと思ったら、そういえば僕とリズちゃんも抱きあっていたっけ。


 ぎゅうう。


 今度は、リズちゃんまで一緒になって、三人で団子になっていた。

 なんだか心まで暖かかった。




 妹は、ザ・初心者という格好。

 ティーシャツにミニスカートだ。


 防具主体のこのゲームでは、明らかに浮いている。

 もちろん、革の防具とか鎧みたいなゴツい格好ばっかりではなくて、もっと戦闘力の高い人は魔法少女のバトルスーツみたいなものを着ている。

 男性もなんかそれっぽい服装で、別に鎧カッチカチばかりではないって最近知った。


 ここで露店に行き、防具などを買ってきてしまうのも、一つの手ではある。

 グリーンスライムを乱獲したので、いくつかのLv1防具は予備がドロップしていた。


「革の靴Lv1と革の鎧Lv1は、僕たちがドロップしたのがあるから、それはあげる」「ありがとう、お姉ちゃん」


「他の防具とかは露店で買ってきてもいいけど、なんか違うよね?」


 僕はそう思う。


「まあ、そうだと思うわ」

「だよねえ、さすがおに、お姉ちゃん。わかってるう。ゲームなんだから、自分で稼がないと、だよね、にゃんね」


 これは何だろう。

 語尾が安定しない子なのか?


「そのにゃんねってのは?」

「うん、猫耳じゃないけど、猫キャラにしようかにゃんって思って」

「なんでぇ」

「にゃんにゃん♪」


「まあ、可愛いからいいか」

「そうよね。可愛いわね」


 可愛いは正義! 以上、突っ込み終わり。


 可愛いからいいのだ。だばあ。


 そういえば、ペイントというか顔に猫ひげのマークが入っている。

 それで猫獣人じゃなくて、なぜかロリドワーフ。謎い。


「あのね! 顔のマークはお化粧と一緒で、いつでも変更可能だよ、お姉ちゃんもやってみるにゃん?」

「いや、僕はいい」

「そうにゃんか、残念にゃん」


 くっ、あざとい。しかし可愛い。くそお。


「とにかく、外へ行く?」

「うん、わかったにゃん」


「っとその前に、そこのクリスタルのある石像のところへ」

「ん? なんだろうにゃ」


 よくわかっていない妹をとりあえずワープポイントに登録する。


「わわ、なんか表示されたわ。ワープポイントだって。なるほどにゃんね」

「そうなんだって、僕も最初知らなくて、へへへ」

「お姉ちゃんそそっかしい、にゃんね」


 ぐ、僕がそそっかしいわけじゃないやい。


「さあ、今度こそ外へ、れっつごー」




 ニッコニコの兵士さんの城門を通過して、町から外に出て平原に着いた。


 妹もチュートリアルは突破してきたのだろう、銅の剣を持っていた。


「では、スライムさんの攻撃を開始します。このミミちゃんは、スライムですが知っていると思うけど、僕のテイムモンスターなので、攻撃しちゃだめです」

「攻撃すると?」

「さあ、やったことはないけど、どうなんだろう? リズ先生!」


「それはね、テイムモンスターもプレイヤーと同じように扱われるから、PK不可エリアでは、PKできません。このゲームはほとんどのエリアがPK不可となっています」

「「なるほど~」」


「ぷぷ、同じ反応するね、可愛い」

「「くぅ」」

「ああははは」


 リズちゃんに笑われた。

 確かに、同じ反応だったわ。


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