町に戻ってきた。
噴水広場で魔道コンロを設置する。
「さてワイちゃん、焼いちゃおうか」
「うん、ではラージラットのお肉!」
たくさん入手したお肉を焼こう。
じゅうじゅうと音を立てながら、お肉が焼けていく。
焼けたらアイテムボックスにしまって次のお肉を焼く。
もう流れ作業だ。
周りには肉の焼けるいい匂いが漂っている。
ふらふらと人も集まってきていた。
「お、お嬢ちゃんじゃん」
「可憐な二輪のお花、でござるよ」
「あら可愛い」
「微笑ましい」
「ママになってほしい」
若干変な声も聞こえるような気がしないでもないが、気にしないことにしよう。うんそれがいい。
いい匂いすぎる。
僕も食べたくなってきた。
でも、ちょっと我慢。
お肉を黙々と焼く。
ふう。全部できたぞ。
以前作った大量の『ハムと目玉焼きのサンドイッチ』。
それから今、焼いた『ラージラットのローストミート』。
商品を露店ゴザにセットしていく。
「はーい。サンドイッチ、お肉のロースト、いかがですか~」
僕が露店の開店を告げる。
遠巻きに見ていたお客さんたちが、次々に列を形成していく。
「美少女の料理がついに、食べられる」
「やった、うれしい」
「俺もずっと気になっていたんだ」
なにやらぼそぼそ会話が聞こえる。
とにかく一人ずつ、料理を販売していく。今回は1人4個までだよ。
列は思ったより長い。
途中で後ろに並ぶ人が追加されて、また長くなる。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました……」
接客をして次々処理をしていく。
隣でリズちゃんも会計をしてくれて、二人で作業する。
なんだか、一緒にアルバイトをしているような気分になってくる。
美少女のリズちゃんと一緒なんて、リアルだったら、それはそれは素晴らしいかもしれない。
ふう、とりあえず販売は完了した。
ちょっと疲れた代わりにお金はいっぱい増えた。
「そういえばワイちゃん、ログインボーナスもらった?」
「え、なにそれ?」
「ほらメニューの中に、びっくりマークいろいろ付いてるかもしれないけど『イベント』の中の『ログインボーナス』を探すのです」
「あー、あった、あった」
メニューからログインボーナスを選択する。
「初回ログインボーナス300ブルーダイヤ」
「うん」
「ログインボーナス、たぶん普通の50ブルーダイヤ」
「うん」
「よくわかんない」
「まあ、そうだよね。えっとね課金のおまけポイントがブルーダイヤなんだ。1ブルーダイヤが1円」
「わかった! なるほどぉ」
今、貰ったから350ブルーダイヤなわけだ。
「それでこれは何に交換できるの?」
「うんとね、まず公式ショップ」
「うん」
「例えば『復活の聖水』100ブルーダイヤ。戦闘不能時、自己復活できるアイテムです」
「あーうん、でも自分が死んじゃってるのに、どうやって飲むんだろう」
「そういう細かいことはいいの」
「あっはい」
いやだってさあ、倒れてるんだよ。チュートリアルでやったよ。
それが自分で復活するとか変じゃない?
ゲーム的都合って言われたらそうかもしれないけど、まあしょうがない。
「まあいいわよね」
「うん……」
「じゃあ次。『実績』のところにもびっくりマーク付いてるでしょ?」
「うん、いろんなところに付いてて気にしてなかった」
メニューから『実績』を開く。
というか視界の隅のほうにも、同じアイコンが赤い丸マークと一緒に表示されていた。
いろいろ視界に表示されてるなーと思ってたんだけど、そういうことか。
赤い丸マークは何かのお知らせってことが分かりました。今度からチェックするようにしよう。
『敵100体討伐 50ブルーダイヤ 達成!』
『敵200体討伐 50ブルーダイヤ 達成!』
次は『敵500体討伐 50ブルーダイヤ』だけどグレー表示になっていてまだ獲得できていない。
『採取100個 20ブルーダイヤ 達成!』
『採取200個 20ブルーダイヤ 達成!』
『採掘100個 20ブルーダイヤ 達成!』
『初めての釣り 20ブルーダイヤ 達成!』
おお、こうやってみると色々達成してる。
なんだ、結構ゲームやってる感じする。
合計で530ブルーダイヤをゲットしたよ。
うーん。ブルーダイヤで何を買おう。
公式ショップもちょっと眺めてみたけど、あまり欲しいものはない。
というか、よくわかんないので、パスしようかな。
もうちょっと、眺めてみる。
ペットは欲しいかもしれない。おうちはマンションなので、ペット不可だし。
「ねえねえ、ペットは?」
「それがね、公式ショップのペットは専用のものなんだけど、取引可能だからゲーム内でも買えるし、他の種類なら直接ゲットもできるの。他のもののほうがいいんじゃないかな」
「ふーん」
ペット三毛猫、500ブルーダイヤ。白猫、黒猫、黒白、茶トラ、さばトラ、きじトラ。
なんだなんだ、運営ちゃんは猫大好きかよ。
と思ったら、犬もいっぱい種類がある。しゅごい。
鶏のひよこ、茶、白。ふむむ。
ウサギ、茶、白、黒。むむむ。
ミニブタ、ハムスター、ハリネズミ。
オウム、インコ、アヒル、ガチョウ、カルガモ。
キツネ、タヌキ、カワウソ。
まだページスクロールが残ってて、結構種類があるね。
とりあえず、ほ、保留。
「モンスターのペットとかいないの?」
「モンスターはテイムモンスター扱いだね」
「ほうほう」
「テイムはテイマー職っていうのが多いけど、このゲームでは全員がテイムできるよ。ただし同時召喚は2体まで」
「テイムモンスターはショップにないの?」
「うーん、ないこともないけど、自分で取ってくるのが普通かな」
「そうなんだ」
ショップで種類からテイムモンスターを選ぶ。
グリーンスライム、ブルースライム、ラージラット、300ブルーダイア。
ブルーホーク、ポイズンスネーク、グレートスパイダー、600ブルーダイア。
ちょっと強そうな子はお値段も倍ドンだ。
「グレートスパイダーは?」
「それなら、そこのアブライルの森にいるから捕まえればいいよ」
「ほーん。どうやってやるの?」
「テイムシードっていうテイム用アイテムで、弱らせたり好物で誘ったりすると、テイムできるんだよ」
「すごい!」