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16 ログボと実績


 町に戻ってきた。


 噴水広場で魔道コンロを設置する。


「さてワイちゃん、焼いちゃおうか」

「うん、ではラージラットのお肉!」


 たくさん入手したお肉を焼こう。


 じゅうじゅうと音を立てながら、お肉が焼けていく。

 焼けたらアイテムボックスにしまって次のお肉を焼く。


 もう流れ作業だ。


 周りには肉の焼けるいい匂いが漂っている。

 ふらふらと人も集まってきていた。


「お、お嬢ちゃんじゃん」

「可憐な二輪のお花、でござるよ」

「あら可愛い」

「微笑ましい」

「ママになってほしい」


 若干変な声も聞こえるような気がしないでもないが、気にしないことにしよう。うんそれがいい。


 いい匂いすぎる。

 僕も食べたくなってきた。


 でも、ちょっと我慢。


 お肉を黙々と焼く。


 ふう。全部できたぞ。


 以前作った大量の『ハムと目玉焼きのサンドイッチ』。

 それから今、焼いた『ラージラットのローストミート』。


 商品を露店ゴザにセットしていく。


「はーい。サンドイッチ、お肉のロースト、いかがですか~」


 僕が露店の開店を告げる。


 遠巻きに見ていたお客さんたちが、次々に列を形成していく。


「美少女の料理がついに、食べられる」

「やった、うれしい」

「俺もずっと気になっていたんだ」


 なにやらぼそぼそ会話が聞こえる。


 とにかく一人ずつ、料理を販売していく。今回は1人4個までだよ。

 列は思ったより長い。

 途中で後ろに並ぶ人が追加されて、また長くなる。


「ありがとうございました」


「ありがとうございました……」


 接客をして次々処理をしていく。

 隣でリズちゃんも会計をしてくれて、二人で作業する。


 なんだか、一緒にアルバイトをしているような気分になってくる。

 美少女のリズちゃんと一緒なんて、リアルだったら、それはそれは素晴らしいかもしれない。


 ふう、とりあえず販売は完了した。

 ちょっと疲れた代わりにお金はいっぱい増えた。




「そういえばワイちゃん、ログインボーナスもらった?」

「え、なにそれ?」

「ほらメニューの中に、びっくりマークいろいろ付いてるかもしれないけど『イベント』の中の『ログインボーナス』を探すのです」

「あー、あった、あった」


 メニューからログインボーナスを選択する。


「初回ログインボーナス300ブルーダイヤ」

「うん」

「ログインボーナス、たぶん普通の50ブルーダイヤ」

「うん」

「よくわかんない」


「まあ、そうだよね。えっとね課金のおまけポイントがブルーダイヤなんだ。1ブルーダイヤが1円」

「わかった! なるほどぉ」


 今、貰ったから350ブルーダイヤなわけだ。


「それでこれは何に交換できるの?」

「うんとね、まず公式ショップ」

「うん」


「例えば『復活の聖水』100ブルーダイヤ。戦闘不能時、自己復活できるアイテムです」

「あーうん、でも自分が死んじゃってるのに、どうやって飲むんだろう」

「そういう細かいことはいいの」

「あっはい」


 いやだってさあ、倒れてるんだよ。チュートリアルでやったよ。

 それが自分で復活するとか変じゃない?

 ゲーム的都合って言われたらそうかもしれないけど、まあしょうがない。


「まあいいわよね」

「うん……」


「じゃあ次。『実績』のところにもびっくりマーク付いてるでしょ?」

「うん、いろんなところに付いてて気にしてなかった」


 メニューから『実績』を開く。

 というか視界の隅のほうにも、同じアイコンが赤い丸マークと一緒に表示されていた。

 いろいろ視界に表示されてるなーと思ってたんだけど、そういうことか。


 赤い丸マークは何かのお知らせってことが分かりました。今度からチェックするようにしよう。


『敵100体討伐 50ブルーダイヤ 達成!』

『敵200体討伐 50ブルーダイヤ 達成!』


 次は『敵500体討伐 50ブルーダイヤ』だけどグレー表示になっていてまだ獲得できていない。


『採取100個 20ブルーダイヤ 達成!』

『採取200個 20ブルーダイヤ 達成!』

『採掘100個 20ブルーダイヤ 達成!』

『初めての釣り 20ブルーダイヤ 達成!』


 おお、こうやってみると色々達成してる。

 なんだ、結構ゲームやってる感じする。

 合計で530ブルーダイヤをゲットしたよ。




 うーん。ブルーダイヤで何を買おう。

 公式ショップもちょっと眺めてみたけど、あまり欲しいものはない。

 というか、よくわかんないので、パスしようかな。


 もうちょっと、眺めてみる。

 ペットは欲しいかもしれない。おうちはマンションなので、ペット不可だし。


「ねえねえ、ペットは?」

「それがね、公式ショップのペットは専用のものなんだけど、取引可能だからゲーム内でも買えるし、他の種類なら直接ゲットもできるの。他のもののほうがいいんじゃないかな」

「ふーん」


 ペット三毛猫、500ブルーダイヤ。白猫、黒猫、黒白、茶トラ、さばトラ、きじトラ。

 なんだなんだ、運営ちゃんは猫大好きかよ。

 と思ったら、犬もいっぱい種類がある。しゅごい。

 鶏のひよこ、茶、白。ふむむ。

 ウサギ、茶、白、黒。むむむ。

 ミニブタ、ハムスター、ハリネズミ。

 オウム、インコ、アヒル、ガチョウ、カルガモ。

 キツネ、タヌキ、カワウソ。

 まだページスクロールが残ってて、結構種類があるね。

 とりあえず、ほ、保留。


「モンスターのペットとかいないの?」

「モンスターはテイムモンスター扱いだね」

「ほうほう」


「テイムはテイマー職っていうのが多いけど、このゲームでは全員がテイムできるよ。ただし同時召喚は2体まで」


「テイムモンスターはショップにないの?」

「うーん、ないこともないけど、自分で取ってくるのが普通かな」

「そうなんだ」


 ショップで種類からテイムモンスターを選ぶ。

 グリーンスライム、ブルースライム、ラージラット、300ブルーダイア。

 ブルーホーク、ポイズンスネーク、グレートスパイダー、600ブルーダイア。


 ちょっと強そうな子はお値段も倍ドンだ。


「グレートスパイダーは?」

「それなら、そこのアブライルの森にいるから捕まえればいいよ」

「ほーん。どうやってやるの?」

「テイムシードっていうテイム用アイテムで、弱らせたり好物で誘ったりすると、テイムできるんだよ」

「すごい!」


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