そのまま三人で広場に行って、鍛冶師のムルリックさんのところにきた。
「ムルリックさん、こんにちは。朝以来です」
「ああ、また例のアレもってきてくれたの?」
「いえ、ちょっとこれ見てほしくて」
「どれどれ」
ゴブリンソードを見せてみる。
「ああなんか錆びてるな。切れ味が悪いから補正も悪いと。ちょっと研いだぐらいでは、痛みがひどくて無理だね」
「そうですか」
「すまんね」
「それでですね、これ。溶かしてインゴットに戻してからリサイクルするというのはどうです?」
「ふむふむ、なるほどね。不純物とか多そうだけど、まぁやってみるか」
「一本目は無料で上げますから、ぜひ実験お願いします」
よく考えたら自分でもできるが、まあいいや。
ゴブリンソードを渡して様子を見る。
ムルリックさんは炉にゴブリンソードを入れて溶かしていた。
「よし、インゴットにはなったな」
アイテム【ゴブリン鉄インゴット】という普通の鉄とは違う合金というか不純物が多い鉄ができたらしい。
「いっちょ短剣にでもしてみるか」
そういって、打ち直してもらう。
●ゴブリン鉄ナイフ
ランク:C
品質:ノーマル
装備条件:Lv5
補正:
ATK+12
耐久:15/15
ゴブリン鉄でできたナイフ。
まぁ可もなく不可もなくという感じだろうか。青銅のナイフはATK+10だったと思うので、まぁ悪くはない。
「おお、青銅に比べりゃまし。材料としては悪くないな」
「そうですか。これ引き取ってもらえますか? それともバザールに出したほうがいいですかね」
「ああ、半分引き取るよ」
こうして俺は半分のゴブリンソードを引き取ってもらった。お値段100kE。
残りのゴブリンソードは隣の空き地で自分でゴブリン鉄インゴットにして、バザールで10個880ptで、3セット登録しておいた。
これで売り上げ二千四百円になる。売れればだけど。
ついでに鉄インゴットの残りを10個1,100pt、3セット登録しておく。
まだゴブリン鉄インゴットはバザールに登録されていなかったので、ゴブリン狩りをした連中があまりいないのかもしれない。
その中でも溶かしてインゴットにしようと思った人がいなかったということだ。
もしかしたら秘匿したのかもしれないけど、それなら悪いことをした。
「なるほどさすがウル君。生産者でもあると、こういう目端が利くというか、すごいね」
ミハエルさんがべた褒めしてくれた。
「じゃあ、ウル君、今日はこれで。フレンド登録いいかい? 今後も是非ごひいきにお願いしたい」
「あ、あ、私も。ミハエルばっかりするい。エリスもお願いしますよ」
二人からお願いされて、フレンド登録をした。
「あ、ついでにムルリックさんお願いします」
「僕はついでかよ」
ムルリックさんは抗議しつつも笑顔でそれに応じていた。
そしてミハエルとエリスさんはその場で、ゴブリン鉄の武器を作ってもらい、更新していた。
材料を売るほうが多いので黒字にはなるので大丈夫だろう。
幸運のお守りもやはり売れてしまったので、追加でさらに20個作ってまたバザールに登録しておく。材料の魔力石は数があるので大丈夫。
買った人なら手作業で加工してみれば似たようなアイテムは作れるはずなので、偽物が出るのは時間の問題だ。今のうちに稼いでおかないとだ。スタートダッシュが肝心だった。