翌朝、外は大雨だった。
『……嵐が来るね』
ぽつりと白兎が語りかける。確かに嵐、と言った方が正しいだろう。風で窓がきしむ音が聞こえる。
「これじゃ、外に出るのも危ないね……」
今日は、出歩くのは控えておこう。白兎も頷き
『しばらく休むと良いよ。あれだけ長い旅をしたのは僕も久しぶりだから疲れているし』
神様でも疲れるのは間違いない様だ。白兎の顔にも疲労が浮かんでいる。
『そうだ、今日外に出られないのなら状況を整理してみよう。何か見えてくるかもしれない』
確かに、今まで色々あったから頭が混乱している。
「わかった。昨日はまず、コキヌサマにお会いしたよね。そこで加護を受けて……」
『その後、星神様に会いに行ったけどそれは失敗だったね。多分、今頃出雲についているんじゃないかな』
「で、その後イカヅチ様に剣を頂いて……本当に色々あったなぁ」
『僕としては、まだ不安なくらいだ。出雲が全盛期の様な力を取り戻しているとしたら、君も僕も、無傷ではいられないだろうし』
その言葉を受け、こちらも不安になってきた。昨日僕がお会いした神々は皆凄いと思っていたが、まだ足りないのだろうか。
「出雲って、そんなに強いの」
『……君が思う、何倍も強いと思うよ。何よりも性格が苛烈だし』
僕との相性は最悪の様だ。向こうが戦力を補強する前に戦いを挑むか、こちらも戦力を補強するか。向こうから今戦いを挑まれたら、というのは極力考えない様にしていた。そんなことをされて、勝てる自信がない。
『この話は精神衛生上良くない、やめよう。どうとでもなるよ』
「……だと、いいけど」
白兎の励ましも、言葉だけな気がしてきて本当に良くない。僕はベッドに寝ころんだ。