深夜、寝苦しさから目が覚めた。僕はどうしてこんなことをしているのだろう。春妃の死は確かに衝撃的だったけれど。
……ああ、そうか。僕は好きだったんだ。彼女が。だから、彼女を殺した出雲が許せないでいるのか。ようやく自分の感情の動きに納得がいった。
「ねえ、白兎」
『どうしたの?』
「僕と彼女、出雲ってさ。和解できるかな」
我ながら呆れる。まだ和解出来ると思っている自分に。
『……出雲には、この世への呪いの感情だけが残っているんだと思う。その状態のままここまで来ているなら、難しいかな』
「……だよね」
自嘲的に言うと、『でも、君の和解したいという気持ちは誇るべきものだと思うよ』とフォローされた。
次起きた僕に全て任せて、今は身体も心も休ませよう。そう思って目を閉じる。和解が無理なら、やはり倒すしかないのだろう。倒して、封印するか跡形もなく消滅させるか。それしか選択肢はないのだろう。
本当に? それしか、ないのだろうか。出雲はそこまで話が通じないのだろうか。元々が人間であるなら、全て分かり合えないということはないと思うのだが。特に、昔の彼女は好意的なエピソードもあった。分かり合う道があるのなら、僕はそちらを選びたい。混濁した意識の中で、そう思った。