ホテルに着き、ベッドの上で考える。春妃はどうして、大事な仕事を僕に任せたのだろう。普段から関わりがある訳でもないのに。僕が、自称霊感持ちだから、賭けてみる気になったのかな。もう彼女の真意を聞くことは出来ないが、考えることは出来る。
白兎はといえば、兎の姿になって奥の横にいる。これなら人数カウントも一名で済むし、合理的かもしれない。
『さっき、巫女服姿の女性の話をしてたよね。僕が間違っていなければ、思い当たる人……人? が居るんだ』
「えっ?」
疑問形なのが少し不安だが、話を聞くことにする。
『彼女は、強大な力を持った巫女だった。もう、千年以上前の話だけど。当時は僕のことを世話してくれたり、優しい巫女だった。でも、話を聞く限りそうではなくなってしまったみたいで……悲しいよ。彼女の名前は出雲。僕の親代わり』
まだそうだと決まった訳ではないが、巫女服の女性なんてそう多くは居ないだろうからビンゴな気がする。
「とりあえず、今日は休もう。おやすみなさい」
『おやすみなさい』
今日は移動だけで多大な時間を費やしてしまった。本格的な捜索は、明日からになるだろう。そっと目を閉じると、意識がまどろんできた。僕はこれからどうなるのだろう。