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 翌日。幸いなことに、夢を見なかった。時間を見ると、朝の六時。少し早いかもしれないが、オスワサマを探そう。動きやすいパーカーとジーンズに着替え、軽く髪を整える。家族を起こさない様にそっと家を出ると、朝だからか空気が澄んでいた。深呼吸し、あてもなく辺りを捜索する。

 昔に聞いた話だが、蛇神は遠くには行けないのだという。理由は、別の神のことを恐れているからだとか、何とか。このS市内に居るのは、ほぼ確定だと言っていいだろう。しかしS市は合併を繰り返して、今や巨大な市域を持つ。本当に見つかるのだろうか。弱気になっている自分の思考を、頭から追い払う。見つけるんだ、俺が。何かが起きる前に。


 大きな神社にお参りする。当然の様に蛇神は居ないが、願掛けは大事だ。どうか、見つかりますように。

 参拝を終え、神社から去る。自転車で行けるところまで行ってみよう。風を切る感覚が気持ちいい。

 そもそも、蛇神とはどの様な見た目なのかはっきりと理解していない。話によると、白い身体に赤い目だったか。確かに珍しい容姿だが、注意して見ていないと見逃しそうだ。草陰など、見落としがちなところを注視する。

 しかし、見つかる気配はなく気がつけば正午だ。ハンバーガーを食べ、即探索を再開する。いい加減見つけないと、何が起こるかわからない。市内の森や山も探したが、居ない。桃華以外の誰かに相談した方が良いのだろうか。しかし、怒られるビジョンしか見えない。それに、桃華との約束まであと二日ある。放課後探しに行けばいい。大分遠くまで来てしまったので、急いで家の方角へ自転車を走らせた。



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