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第11話 天使と悪魔が狂う時

「スピカ、アル!アクア達は!?」


 遅れてソレイユがスピカとアルの元へと戻ってきた。

アルは、無言で首を横に振り、スピカは悔しそうに何度も地面を叩いた。


「ソレイユ殿、この村に宇宙船は…!?」


「…話した通り、ここは純粋種に見捨てられた星だ。この星に宇宙船は…」


 スピカとアルが困っていた理由は、連れ去られたアクア達を追う手段が無い事だった。

銀河鉄道の運転は、冥天獣のスピカ達には分からない。

そればかりか、遺跡に眠っていた機関車を堕とされたアクア達の銀河鉄道と組み合わせて修理した事により更に複雑化…。

実質的にアクアとリゲルしか運転出来なくなっていた。


 打つ手無し、と誰もがそう思い、諦めようとしていた…。

しかし、その時アルの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

慌てて声が聞こえてきた方へと目を向ける3人…。

そこには軍に所属していた頃のアルの部下の姿があった。

そう、かつてアクアとリゲルを襲った男性隊員と女性隊員である。


「アル様、スピカ様…!すみません、間に合わなくて…!」


 2人は、スピカ達に息を切らせながら駆け寄ると宇宙船の鍵を差し出した。


「状況は分かっています。ですが、まだ間に合うはずです!お2人は早く!!」


 2人は、軍の奇襲作戦を知り、その作戦が実行される前にスピカ達に知らせようとしたが間に合わなかったという。

そして、アクア達が拐われた事は軍の無線を傍受した事で知ったようだ。


「しかし、このままではお前達が…」


 もし、軍にバレたら2人は裏切り者として何をされるか分からない…。

これを受け取ったらかつて軍を追われた時のようにこの2人に迷惑が掛かる…。

スピカは差し出された鍵を受け取るのを躊躇してしまう。

しかし、そんなスピカの手に鍵を握らせた。


「宇宙船は奪われた、という事にすれば何とでもなります。私達の事は気にせず、行ってください」


 女性隊員はそう言い、微笑むと敬礼をする。

続いて男性隊員も敬礼をすると「お願いします。軍を止めてください…!」呟いた。


「すまない…!有難く使わせてもらうぞ!」


 スピカは、ギュッと鍵を握りしめると、村の外に停めてある宇宙船へと走り出した。


「ソレイユ殿、後を任せます。何かあればその2人を使ってやって下さい」


「ああ、早くアクア達を追え!いい知らせを待っているぞ」


 アルは、コクッと頷くとスピカの後を追う。

そして、村の外に停めてあった小型の宇宙船へスピカと共に乗り込んだ。

この宇宙船は4人程が乗れる小型艇で、プレアデス軍が偵察の時等に使用している物だ。


 スピカは直ぐにエンジンをかけると宇宙船を宙に浮かせる。

この宇宙船はスピカもよく操縦していたため、難なく発進準備が整った。


「よし、行くぞ!アル!」


「はい!」


 次の瞬間、宇宙船は物凄い速さで空へと舞い上がって行った。

地上に残ったソレイユとアルの部下2人は、2人を見送ると「さて…」と直ぐに剣や銃を手に持つと構えた。


「早速で悪いが、手伝って貰えるか?お2人さん」


 ソレイユが見つめる先から現れたのはプレアデス軍の軍人達…。

どうやら増援が現れたようだ。


「こうなったのは我々のせい…。勿論、手伝わせて頂きますよ」


 すると、戦える村人達も何かしらの武器を片手にソレイユ達の周りに集まり出す。


「よし、行くぞ!」


 ソレイユの掛け声で一斉に飛び出す村人達…。

村を守る為、そして種族を守る為にプレアデス軍との戦いが始まるのであった。


 一方、スピカとアルはアクアとリゲルを連れ去った宇宙船を追って宇宙空間を進んでいた。

スピカは、小型艇を操縦しながらアルに話しかけた。


「…アル、私はずっと引っかかっていた事がある。アクアとリゲルが最初に襲われた時、レグルス付近にプレアデス軍は展開されていたのか?」


「スピカ様と整備場で会った時ですよね?いいえ、私は何も聞いていませんでしたが…」


 整備場の星でアクア達がレグルスへ通信した時、おばちゃんを始め、レグルスの星獣達は『プレアデスがレグルス付近に軍を展開させている』と言っていた。

しかし今現在、レグルス領のミラ銀河まで帰ってきたアクア達だが、それらしい姿は一度も見ていなかったのだ。


「それでは、レグルスの星天獣達は嘘を…?」


「いや、そうとも言い切れない。皆、嘘をついている様子は無かった…。何より軍は星の武器を手にしていた。それは間違いなく星天獣達に作らせたからだ」


 すると、2人の目の前のモニターにピピッ!という音と共にマークが付く。

どうやらアクア達を乗せた宇宙船が見つかったようだ。

スピカは、反応があった方角へ舵を切ると更にスピードをあげた。


「もしかすると、レグルス内の星天獣達は政府によって情報統制されているかもしれないな…」


「…ですが、何の為に…?」


「分からない…。だが、アクア達が運ばされていた荷物が『星の雫』だった事を考えるとやはり『金』か…」


 その時、2人が乗っている小型艇の前で何かがキラッと光った。

スピカは「追いついたようだな」と呟くと、慣れた手つきで操縦パネルのスイッチを押す。

すると、モニターに『交信中』の文字が表れ、何やら電子音が小刻みに鳴り出した。

暫くするとモニターに『OK』の文字が表示され、相手の宇宙船のリヤハッチが開き始めた。


「どうやら我々が乗っている事はバレていないようですね」


「そのようだな…。アル、中に入ったらすぐに戦闘になるはずだ。油断するな」


「分かってます!必ずお2人を助けましょう!」


 アルがそう言うとスピカは自分達の乗る小型艇をリヤハッチから侵入させる。

そして、停車位置で停まると複数の軍人達が停車した小型艇の前に一列に並んだ。


 スピカは、深呼吸をすると宇宙船のハッチを開けるボタンを押す。

ゆっくりと開き始めるハッチを目で追いながらスピカは剣を、アルは銃を握る。

そして、ハッチが開ききると同時に外へと飛び出した。


「何ッ!?」


 中からスピカとアルが出てきた事に驚く軍人達。

アルは、そんな軍人達を見事な早撃ちであっという間に気絶させていく…。

スピカは最後の1人を床へ押さえつけると胸ぐらを掴んだ。


「拐った星天獣の2人は何処だ!?」


 鋭い眼光で軍人を睨みつけるスピカ。

真っ赤に染まったこの時のスピカの瞳の恐ろしさは半端なものでは無いだろう。

恐怖で中々声が出せない軍人に「答えろ!!」と更に追い討ちをかける。

軍人は「メ、メインコックピットに天使の子が…」と答えるとガクンッと首がそり返って白目を剥いた。

どうやら恐怖のあまり気絶してしまったようだ。


 2人は、「ふぅ…」とひと息吐くと直ぐに部屋を飛び出し、走り始めた。

メインコックピットは、小型艇が停車した部屋から1番遠い先頭部分にある。

アクアはそこにいる事が分かったが、リゲルが何処へ連れて行かれたのかが分からない…。

2人は手当たり次第に部屋を調べながらメインコックピットを目指す事にした。


 一方、アクアとは別の部屋に連れて行かれたリゲルは、手足をロープで拘束され壁に繋がれていた。

恐らく尋問されているのだろう。

その顔には傷がついており、呼吸も乱れていた。


「もう一度聞こうか。コスミックゲートの設計図は何処にある?」


「…知らない。知っていてもお前達に話すもんか!」


 軍人は、チッ!と舌打ちすると「やれ」と別の軍人に指示を出す。

その軍人は手に力を集中させるとリゲルの方へとふと振りした。

すると、その手からは電撃が放たれ、リゲルの体中に電撃が流された。


「うわあぁぁぁッ!!」


 リゲルは宇宙船全体に響き渡るような悲鳴を上げるとうつ伏せに倒れる…。

もう体中に走る痛みから動く事が出来なかった。

そんなリゲルの頭に片足を乗せると、グリグリと踏みにじった。


「生意気なガキだ。大人しく吐けばこんな苦しみを味わう事もなかったろうになぁ?」


 ニヤリと笑いながら楽しむようにリゲルを痛ぶる。

しかし、リゲルはうつ伏せになりながらも軍人達を睨みつけた。


「う…るさいっ…!お前達に…分かるもんか…!」


 リゲルの頭を過ぎるのは父親のベテルの姿…。

例えそれが大した物で無い物だったとしても一切手を抜かなず、必ずこだわりを持っていた。

そして、『どんな物でも生み出すからには責任を持つ』

ベテルの信念は、リゲルにもしっかり受け継がれており、これを守る事で『父さんと繋がっているような気がする』と周囲に話していた。

コスミックゲートの技術は、星獣達を便利に、幸せにする為にベテルが考案した物…。

リゲルは、それを悪用する為に脅迫してくる軍人達が気に入らなかった。


「コスミックゲートは…父さんがみんなを幸せにする為に造ったんだ!誰かを傷つける為に造ったんじゃない…!『生み出した物の責任は自らが取らなくてはならない』。父さんの信念はオレの信念だ!だから…!だからオレは、絶対話さないっ!!」


 全力で拒否された軍人は、リゲルの態度が気に入らなかったのか、更に強い力で踏みつけようとする。

しかしその時、突然大きな音が部屋中に響き渡った。

強い力で鉄板を叩くような音と共に部屋の扉が凹んだかと思うと、扉の金具が外れ、部屋の中央へと飛び、ガシャン!と転がった。


「何事だ!?」


 軍人達は、突然の出来事に慌てて入り口の方を見る。

入り口から飛び込んできたのはスピカとアルの2人だった。

リゲルが連れ込まれていたのは一種の拷問施設。

 元軍人の2人は、リゲルの悲鳴を聞いた瞬間にこの部屋だと察知し、急いで駆けつけたのだ。


「リゲルから離れろ!」


 リゲルを足で押さえつけている軍人へと飛び出していくスピカ。

その時、4、5人の軍人がスピカ前に立ちはだかった。

すると、アルは得意の早撃ちでスピカの背後から数弾の弾丸を撃ち出した。

その弾丸は、スピカの体をスレスレで通り抜けると軍人達に見事に命中…。

リゲルに尋問をしていた軍人をスピカが一撃食らわせて弾き飛ばした。

壁に思いっきり叩きつけられた軍人はそのまま気絶…。

他の軍人達もアルの銃撃により動ける状態ではなかった。


「リゲル!大丈夫か!?」


 スピカは、直ぐにリゲルに駆け寄ると繋がれていた拘束具を外す。

そして直ぐにリゲルの体に付いた傷の確認をし始めた。

一方、アルは軍人達をロープで縛り、隙を狙って反撃出来ないようにしていた。


「すまない、リゲル。遅くなってしまって…」


「ううん、そんな事ない。ありがとう、助かったよ」


 特に厄介な傷がない事を確認し終えると、リゲルの体をゆっくりと起こす。

その時、「いつつ…!」とリゲルの顔が一瞬歪んだ。


「コスミックゲートの設計図は…?」


 想像よりも拷問による傷が酷かったからだろう。

スピカは、リゲルがコスミックゲートの設計図の在処を話してしまったのではないか、と心配そうに質問する。

すると、リゲルはニカッと無理して笑うとグッと親指を立てた。


「よく…軍の拷問に耐えたな」


「へへっ…!スピカさんに鍛えられたからかな…?それに必ず助けに来てくれるって信じてたから」


 スピカは「全く、君ってヤツは…!」と少し照れくさそうに顔を背ける。

すると、そこへ軍人達の対処が終わったアルがやってきた。


「リゲル殿、大丈夫ですか!?」


「オレは大丈夫だよ。そんな事より2人は自分の体の心配もしてくれよ。スピカさんもアルさんも体中傷だらけじゃないか…」


「かすり傷ですから大丈夫ですよ。数が多いとどうしても無傷という訳にはいかなくてですね…」


 無事にリゲルを助け出し、一安心のスピカとアル。

しかし、まだアクアを助け出していない事から再び表情が引き締まった。


「アル、お前はリゲルを連れて一度ソレイユさんの星へ戻るんだ」


 スピカの突然の指示に「しかし…」と言葉を濁らせるアル。

確かに、このまま傷だらけのリゲルを連れていくのは正直お荷物だ。

しかし、この宇宙船にあとどれ位の軍人達が残っているのか分からないのも事実であり、スピカ1人を残していく事に不安があった。


「もしこの先で何か起こった時、小型艇だけでは少し不安だ。今ならまだソレイユさん達の星からそんなに離れていない。もしもの時に備えて銀河鉄道を持って来て欲しいんだ」


「…分かったよ。今のオレじゃ足手纏いだしな…」


 スピカの考えに静かに頷くリゲル。

そして「アクアを頼む」と想いを託した。

アルもコクッと頷くとリゲルの肩を支えに入った。


「もし、事態が急変した時は通信を入れる。必ず無事で合流しよう!」


 スピカは先頭のメインコックピットへ、アルとリゲルは小型艇の発着場へと二手に分かれて走り出す。

スピカは、2人が何事もなく脱出できる事を祈りながらアクアの元を目指すのだった。


 その頃、メインコックピットではアクアがリゲル同様に器具で拘束されていた。

しかし、リゲルとは違い拘束具の他にも何やら奇妙な機器が手足に取り付けられている…。

そして大きなモニターには何やら数値が映し出されていたが、直ぐにエラーの文字に切り替わった。


「やはりダメか…。星の魔法とやらの謎は一筋縄で解き明かされる物ではないようだな」


 アクアに取り付けられた機器…。

それはアクアの魔力を調べる為の機器だった。

しかし、星の魔法という特殊な魔法故に調査は難航していた。


 アクアは、何とか逃げ出そうと体を動かそうと試みるがそれに気がついた軍人がアクアを床へと押さえつけた。


「手間をかけさせるな。星の魔法が何なのかはお前自身も知りたい事だろう?我々プレアデス軍が解き明かしてやるから大人しくしているんだ」


 何かを企むようにニヤッと笑みを浮かべる軍人。

すると、何処からかクスクスという笑い声が…。


「解き明かせるかなぁ?貴方達に」


「誰だ!」とキョロキョロと辺りを見回す軍人達。

その瞬間、軍人の1人が「ぐわあッ!」悲鳴を上げた。

慌てな様子で悲鳴が聞こえてきた方を一斉に見る軍人達…。

すると、そこにはPeace makerの2人『カストル』と『ポル』と血を流して倒れる軍人の姿があった。


「少なくとも、貴方達には無理だと思うなー」


「ふざけるな!やれ!!」


 一斉に4、5人の軍人達がカストルとポルに向かって飛び出す。

しかし、2人はまるで風に吹かれて波打つ髪のようにひらひらと攻撃をかわすと短剣やナイフで次々に急所を刺した。

そして、あっという間にアクアを取り押さえている軍人だけが残った。

残された軍人は、恐怖からか、アクアから離れて後退りをする。

しかし、直ぐ後ろに『何か』があり、トンと背中がぶつかると足が止まった。


「フフフ、だって私達に消されるんだから」


 背後には何とポルが立っていた。

そして、背後から首筋に短剣を立てるとスッと斬った。

軍人は、声にならない声を上げるとその場に倒れてしまった。


「さて…と、これで邪魔者は居なくなったね」


 カストルが動けないアクアに近づく…。

モゾモゾと抵抗してみるが、背後からポルがアクアの体を手で押さえた。


「ちょっと苦しくなるけど、我慢してね?フフ…」


 この時、アクアはポルの手に怪しげな注射針が握られているのが分かった。

しかし、針を腕に立てられた時、恐怖からか気を失ってしまい、目の前が真っ暗になってしまうのだった…。


「アクアッ!!」


 メインコックピットの扉の前までやってきたスピカは、拳に魔力を込めると扉を渾身の力で殴る。

スピカの一撃に変形した扉は部屋の中へと飛ぶと床へ転がった。

しかし、部屋の中の様子に驚愕し、足が止まった…。

軍人達が血を流して倒れている光景が広がっていたからである。


「な、何があったんだ…!?」


 恐る恐るコックピットへと入るスピカ。

すると、部屋の奥に居たのはカストルとポル…。

そして、カストルに抱えられながらグッタリとしたアクアだった。


「アクア!?」


「やぁ、待ってたよ。アクア君なら大丈夫。今は寝ているだけだよ」


 カストルはアクアの頭を優しく撫でる。

そして、ニヤリと笑みを浮かべると「『今は』ね…」と付け足した。

それを聞いたスピカは、剣の持ち手に手をかけて構える。

しかし次の瞬間、カストルはアクアをスピカに向けてふわっと投げた。

スピカは、剣から手を離すとアクアをキャッチする。


「お望み通り、アクア君は返してあげる。でも、早くしないと手遅れになっちゃうかも?」


 クスクスと笑いながら訳のわからない事を言うポル。

そして、メインコックピットにあった赤色のボタンを叩き押した。

ポルの押したボタン…。それは緊急用の自爆システムを起動させるボタンだった。

たちまち船内に警報と船内アナウンスが慌ただしく流れ出す…。


「それじゃあ、僕らはお先に失礼するよ」


「ばいばーい!」


 カストルとポルは、ヘルメットを被るとコックピットに穴を空け、外に呼び出した宇宙船へと飛んでいってしまう。


「く、くそっ!待て!!」


 スピカは、逃げる2人を追おうとしたが、穴の空いた箇所から空気が勢いよく漏れだしている事に気がつく。

それに吸い込まれてしまえばあっという間に空気のない船外へと排出されてしまうだろう。

スピカは、アクアを抱えたまま直ぐにコックピットを出ると、緊急用のシャッターでコックピットを閉じた。


「…時間がない。とにかく脱出しないと…!」


 スピカは、アクアを抱くと小型艇の駐車スペースへと走り出す。

しかし、気を失っているアクアを抱えながらではどうしても時間がかかってしまう…。

何か良い方法はないか、と考えながら走っていると、ある部屋の前で足が止まった。

それは、緊急脱出用のハッチがある部屋だった。


「(そうだ、ここなら…!)」


 扉を開けて中に入るとそこには緊急脱出用の救命カプセルがあり、天井には脱出用の巨大ハッチがあった。

カプセルと連動式になっており、カプセル発出時に自動でハッチが開く仕組みだ。


 スピカは、その部屋にアクアを寝かせると再び部屋を飛び出した。

目指すのはリゲルを拷問していた部屋。

スピカは、敵とはいえ縛りあげた軍人達を置いていく気にならなかったのだ。

息を切らせながら部屋に入ると、軍人達が戦いで落とした剣を取り、1人の軍人の縄を切った。


「こいつらを連れて小型艇の発着場へ行け!まだ間に合うはずだ!」


「貴様、一体どういうつもりだ!この船を自爆システムを起動させたのも貴様の仕業なんだろう!?」


 何が起こっているのか整理できずに興奮してスピカに当たり散らす軍人。

すると、スピカは「いい加減にしろ!」と怒鳴りつけた。


「私を疑うのは構わない!だが、このまま私に当たっても状況は変わらないんだぞ!脱出した後でなら幾らでも聞いてやる。命を無駄にするな!!」


 スピカは、背を向けると「とにかく行け!!」と一言残し、部屋を飛び出して行ってしまう。

軍人はやりきれない思いから「ちくしょう…!」と一言もらすと膝から崩れ落ちてしまうのだった。


 船内スピーカーから「爆発まであと15分」とアナウンスが流れる。

そんな中、スピカは息を切らせながら再びアクアの居る部屋へと戻ってきた。

しかし、部屋の中に入った時、直ぐに異変に気がついた。


「アクア…!?」


 カストルとポルから投げ渡された時から少し苦しそうに呼吸していたのだが、それが更に酷くなっていたのである。

呼吸は激しく乱れ、苦しそうに胸の辺りを押さえている…。

そして、急激に体温が上がっていた。


「か、体が熱い…!一体あの2人に何をされたんだ…!?」


 アクアの異変にあたふたしていると、突然部屋にあったモニターが映った。

そのモニターに映し出されたのは何とカストルとポル。

2人は、今のスピカの状況を分かっていたかのようにクスクスと笑いながら話し始めた。


「苦しそうだねぇ、アクア君」


「どうやら順調に進んでいるようだ」


「お、お前達…!アクアに何をした!?」


 不適な笑みを浮かべる2人に大声をあげるスピカ。

すると、カストルがたった一言、こう言った。


「狂天症」


 その言葉にスピカの表情は青ざめ、凍りついたように固まる。

そして動悸が激しくなった。


「混血種の住む星へ行ったんだから当然分かってるよね?」


 追い討ちをかけるようにポルが続く。

聞きたくない。嘘だ。

心の中でそう願うスピカ…。

しかし、現実はそれを簡単に裏切る…。


「アクア君には昔、神がばら撒いたと言われるウイルスを射たせてもらったよ」


「でも、正確には『狂天症とほぼ同じ症状を発症するウイルス』だけどね。私達がウイルスを改造したの。発症すればアクア君としての自我は無くなっちゃうのは変わらないけど、私達の言う事を聞く『お人形さん』になるように…ね!」


「…ッ!き、貴様ぁっ!!」


 スピカは怒りに任せて叫び、モニターに詰め寄るとバンッ!とモニターを叩く。

しかし、相手は遠く離れた場所からの映像だ。

真っ赤に染まったスピカの瞳は、どこに向ければいいか分からない怒りの矛先を探しているようだった。

それを見たポルは突然、表情が凍りつくように急に引き締まる…。


「貴方達が悪いんだよ?大人しく私達の仲間になっていればこんな事にならなかったんだから」


 クスクスと笑っていた先程とは違い、トーンが低くなった声と表情に思わずゾクッとするスピカ…。


「空気感染はしない。しかし、アクア君はあと少しで完全に発症する。そして、君は凶暴化したアクア君に襲われるんだ。体に傷をつけられたら最後…。全身から溢れ出すウイルスに感染し、君も狂魔症を発症する」


 一方、カストルの方は相変わらずニッコリと不適な笑みを浮かべながらスピカに語りかけていた。

そのカストルの残酷過ぎる言葉にただただ呆然とするしかなかった。


「君が助かる方法はただ一つ。『発症し切る前にアクア君の命を奪う事だけ』だよ」


「でも、そんな事が貴方に出来るかなぁ?」


 視線を落とし、苦しそうに呼吸をするアクアに目を向けるスピカ。

究極の選択にへなへなと力なく両膝をついてしまう…。

それを見たカストルとポルは再びクスクスと笑った。


「フフフ、それじゃあ、また後で会おうか。スピカさん」


「アクア君と一緒に私達の仲間になってくれるのを待ってるからね。ただ…それはもう『貴方達の意思』ではないけど、ね!」


 ここでカストルとポルの通信が切れ、モニターが切れる…。

スピカは、徐々にバランスを崩し始めていた宇宙船の中でただただアクアを見つめる事しか出来なくなっていた。


「…わ、私は…『また』アクアを救えないのか…?あの時の様にこのまま黙ってみているしかないのか…?」


 思い出すのは、10年前のプロトタイプ事故…。

当時10歳だったスピカは、アクアの泣き声を聞いていたが助けられず、無力な自分を責め続けながら軍人になった。

『また同じ事を繰り返すのか…?』

そう思うと、涙が溢れてくる…。

するとその時、ピピピッ!と音が鳴り、再びモニターがついた。

顔を上げるとモニターにはアルが映っていた。

どうやら無事にソレイユの元に戻り、星空トレインの機関室から通信しているようだ。


「よかった…!無事だったんですね、スピカ様!」


 アルは、小型艇の操縦中に宇宙船の警報が鳴った事を知り、スピカが何か対応しているかもしれないと連絡してきたのである。


「…スピカ様?どうされたんですか?涙が…」


「…!そうだ…!アル!その様子だとまだソレイユさんの星を出発してはいないな!?」


 スピカの何やら焦った表情に「え?えぇ…」と答える。

どうやら星空トレインの車両は今、リゲルが出発前の点検をしているようだ。

するとスピカは「直ぐにソレイユさんを呼んできてくれ!!」と急かした。

そのソレイユ達も丁度プレアデス軍を全て片付けてひと息ついている所だった。


 スピカの様子に『只事ではない』と悟ったアルは、直ぐにソレイユを連れてくる。

そして、ソレイユの姿がモニターに映ると直ぐに宇宙船で起こった事を話した。

アクアが狂天症に罹った疑いがある事、その狂天症ウイルスが改造され、一種の洗脳ウイルスになった可能性がある事…。

スピカは、分かっている事を正確に、そして手短に説明した。

スピカから説明を受けたアルは驚きの表情を浮かべ、ソレイユは厳しそうに顔を顰めた。


「ソレイユさん!アクアを…アクアを助ける方法はありますか!?」


 スピカは、ポロポロと涙を流しながらソレイユにアクアが助かる方法を質問する。

しかし、ソレイユは静かに首を横に振った…。


「スピカ、すまないがそこまで症状が進んでしまってはもう打つ手が…」


「そ、そんな…」


 大昔の経験から狂天症を抑える薬は開発され、直ぐに作ることもできる。

しかし、スピカ達は今、ソレイユ達と離れた宇宙にいるのだ。

今から行ってもとても間に合わない。

仮に間に合ったとしても薬が効き始めるまでも時間が掛かる…。

スピカの血液とアクアの血液を混ぜ合わせる方法もあるが、弱っているアクアに負担が掛かると一気に症状が進行する恐れもある。

もう、打つ手がなかった…。


「症状が進んでしまった星獣はもう助からない…。楽にしてやるしか…」


「…っ!私に『アクアを殺せ』と言うんですか!?そんな事っ…!」


 スピカの頬を大粒の涙が伝う。

何も出来ない事に歯を食いしばりながら悔しがるスピカ…。

軍人として何年も一緒に活動してきたアルだったが、こんなスピカは見た事がなかった。


「…アクアは、本当に天使だった。たった1人、遺跡の星で暮らしていた私をこの子は救ってくれた。再び外の世界へ連れて行ってくれた…。『不思議な魔法が使える』というだけで軍に襲われて、奇妙な2人に狙われてっ…!そんなの…あんまりじゃないか!!」


 スピカの叫び声と同時に『爆発まであと10分』と再びアナウンスが流れる…。

その時、ソレイユ何かに気がつき、ピクッと反応した。


「待て…!アクアは…魔法が使えるんだよな!?」


 突然の事にアルは慌てて「は、はい!」と答える。

そして「それが要因で狙われている訳ですが…」と付け足した。

ソレイユは、深呼吸をするとモニターの向こうで泣いているスピカに優しく語りかけた。


「スピカ、助かる確証はないが…。一つだけ方法がある」


『もしかしたら助かるかもしれない』

その言葉を聞いたスピカは、ゆっくりと顔を上げた。


「冥天獣には、血管のように魔力が通る管のような物が全身に張り巡らされているのは知っているな?その管の切れ目、つまり始まりの場所が顔の主に口に集中しているんだ」


 冥天獣の魔法は『星の雫を体内に取り込み、変換して魔力にしている』という話をしただろう。

その星の雫を取り込む際にそれを運ぶ為の管の始まりが顔に集中しているというのだ。

魔力を溜めすぎてしまい、上手く排出出来ない時に『顔に機械をつけて魔法を吸い出す』という治療がある事を知っていたスピカは、ソレイユの説明をある程度理解出来ている様子だった。


「魔法が使えるアクアも体の構造が同じ可能性が高い、という事ですか…?」


「その通りだ。輸血でスピカの血液とアクアの血液を全身に回すには時間も掛かるし、負担も大きい…。しかし、魔力を口から流し込んで混ぜ合わせる方法なら負担も小さく、魔法慣れしているスピカなら時間もそれ程掛からないはずだ」


 かつて『天使獣に悪魔獣の血液』を…

そして『悪魔獣には天使獣の血液』を輸血等で混ぜ合わせる事によって狂天症と狂魔症から逃れる者がいた。

今回は血液の代わりに『お互いの魔力を混ぜ合わせる事によってウイルスに対抗出来るのでは?』とソレイユは考えているのだ。

魔力は指紋のように各星獣事に細かい違いがある為、体内で変換される際に遺伝子情報が組まれるのではないか、という研究発表もされていた。

異なる2つの種族の情報が交われば狂天症と狂魔症を抑え込めるかもしれない。

しかし、魔力を混ぜ合わせる際に一歩間違えれば、アクアだけではなく、スピカも狂魔症を発症してしまうだろう。

それだけが唯一の不安要素だった。


「スピカ、これは賭けだ。大きな賭けだ。だが、これ以外に方法が無いのも確かだ」


 そう言われ、スピカはアクアに目を向ける。

アクアはより苦しそうに呼吸をしながら胸を抑えている。

スピカの答えはもう最初から決まっていた。

しかし、ある事が1つだけ気になっていた。


「ソレイユさん、私とアクアの魔力を混ぜ合わせるという事は…『純粋な星天獣と冥天獣では無くなる』という事ですか…?」


「…ああ、そうなるな。混血種とは違うが、『純粋な種では無くなる』という事になる」


 それを聞いたスピカは、『自分の独断で決めてしまって良いのか…?』と再び不安そうな表情を浮かべながらアクアを見る…。

するとその時、ソレイユとアルの後ろから声が聞こえてきた。


「大丈夫だよ、スピカさん。アクアも『アクアとして』生きたいはずだから」


 2人が振り返ると、それはリゲルだった。

発車準備を終えたリゲルは、少し前からスピカ達の通信内容を外でずっと聞いていたようだ。


「リゲル…一体いつから…?」


「救命カプセルで脱出するんだろ?星空トレインで使う救難信号を教えるから使ってくれ。オレたちが直ぐに迎えに行くから」


 そう言うとリゲルは救難信号を紙に書くとモニターへ向けスピカに見せた。

どうやら音の長さや間隔の組み合わせで意味が変わる信号のようだ。

リゲルは『本当は何をしてでもアクアを助けたい』というスピカの心の中を全て覗いているようにつらつらと話す。

スピカは、慌てて転がっていた紙を拾うと、必死にメモを取った。

そうこうしていると、遂に爆発まで残り5分を知らせるアナウンスが…。


「脱出後、ある程度落ち着いたら救難信号を出すんだ。その後は私が判断しよう」


 ソレイユがそう言うと、スピカは静かにコクッと頷く。


「もし、『手遅れの時』はよろしくお願いします…」


そう言って通信を切るとアクアを抱いて救命カプセルへ…。

アクアを先にカプセルの中へ入れると扉に手を掛ける。

そして、ゆっくりと扉を閉めるとカプセルの中でアクアを優しく抱き上げた。

本来は1人用なので、体の小さいアクアをスピカが抱きしめる形になっていた。


 スピカは、手探りでカプセルの射出ボタンを押す。

すると、宇宙船の天井が開き、カプセルはそこから宇宙空間へと飛び出した。

カプセルは、基本的に宇宙船を飛び出す為の動力源しかない為、宇宙空間に出た後は、他の宇宙船に回収してもらうか、星の重力に引かれて不時着するかの2つになる。


 宇宙空間に出てカプセルが安定した事を確認したスピカは、アクアの顔をぐっと引き寄せる。

そして、頭の後ろを優しく撫でた。


「アクア…。今度こそ、今度こそ助けるから…」


 スピカは、ほんのひと粒の涙を流すと目を閉じ、アクアの唇を奪った。


「(目を覚ましてくれ…)」


 スピカの体がほんのり光出し、口を伝ってアクアへと流れていく…。

スピカは、自分の魔力を流し、アクアの魔力と混ぜ合わせる事に全神経を集中させる。

自分の魔力を流すだけでも大変な事だが、それに加えてアクアの魔力と混ぜ合わせていかなければならない…。

スピカは少しずつつ体力と気力を消耗して行き、アクアの呼吸が落ち着き始めた頃には少しだけ眠ってしまっているようだった。


 そして、それから更に数時間が経った頃…。

漸くアクアが目を覚ました。


「う、うぅん…!」


 アクアはゆっくりと目を開く。

体調がまだイマイチ良くないのか視界がボーッとボヤけている。

直ぐ目の前にスピカの顔があり、唇が触れている事に気がついた。


「(…えっ…!?スピカ…さん?)」


 状況が理解出来ないアクアは、モゾモゾと動き出す。

それに気がついたスピカは、ゆっくりと目を開けると唇を離した。


「んっ…大丈夫か…?アクア」


 スピカの問いにコクッと静かに頷くアクア。

すると、スピカは「寒くないか?ほら…」と更にアクアを抱き寄せると上着で包み、更にもふもふの尻尾で包み込んだ。

状況が分からず、恥ずかしがるアクアだが、まだ体が思うように動かせずにスピカにされるがままになっていた。

しかし、居る場所が救命カプセルだと分かると、何か大変な事が起こった事を悟ったようだ。


 スピカは、リゲルに教えてもらった救難信号をカプセル内にある端末に入力して発信する。

作業が終わると安心させるように優しく微笑んだ。


「心配するな。君達が星空トレインで使う救難信号を出したから直ぐにリゲル達が来てくれる」


 すると、スピカは突然「アクア、君に話さなければならない事がある」と改まって話し始めた。

それは、アクアを助ける為にスピカの魔力をアクアに流した事、それによって純粋な種では無くなった事…。

そして最後に、10年前のプロトタイプ事故でアクアを助けられなかった事…。

アクアが混乱しないように一つずつ丁寧に話を進めた。


「隠すつもりはなかった。ただ、私の気持ちに整理がつかなかっただけだったんだ。許してほしい」


「うん…。そっか、スピカさんは10年前も僕を助けようとしてくれてたんだね」


 アクアは「ありがとう!」と答えるとニコッと笑った。

いつもと変わらない笑顔を見せるアクアに思わずスピカもクスッと笑う。

狭いカプセルの中で笑い合う2人だったが、再び視界がボヤけ始める…。

どうやら空気が少し薄くなってしまったようだ。


「少し話しすぎたか。リゲル達が来てくれるまでひと休みしよう…」


 アクアは、コクッと頷くとスピカにギュッと抱きつき、スピカもそんなアクアを上着で包み直してあげた。


「…ねぇ、スピカさん」


「ん、何だ?」


「そ、その…」


 恥ずかしそうにモゾモゾとするアクア。

アクアは顔をほんのり赤く染めるとスピカに見えないように顔を埋めた。


「僕、もしかしたらスピカさんの事…」


「ふふっ、そうか。私も…キミが好きだ。本当にありがとう、アクア」


 ここで2人の意識は途切れ、目の前が暗くなった。


 それからどれ位経った後だろうか。

スピカの発した救難信号によりリゲル達が合流。

念の為、隔離した部屋にカプセルを回収し、抗体を持つソレイユがスピカとアクアを検査。

問題無い事が確認出来ると2人をベッドに寝かせ、目を覚ますのを待った。


「ん…!ここは…」


「スピカ様!」


 目を覚ましたスピカに直ぐアルが駆け寄る。

スピカは、体を起こすと何やらキョロキョロと辺りを見回す。

何を探しているのか察したリゲルは、クスクスッと苦笑いすると横のベッドをチョンチョンと指差した。

リゲルの指差した先には、アクアがぐっすりと寝ていた。


「今、アクアもお前も感染の疑いはない。本当によくやった、スピカ」


 ソレイユは、スピカの勇気と行動力を称えた。

あのままアクアが狂天症を完全に発症してしまえば、スピカも狂魔症を発症し、そのウイルスを宇宙中へばら撒いてしまうモンスターになってしまっていただろう。

それを考えればスピカの功績は相当大きなものだった。


「スピカさん、起きたばっかりで悪いんだけど、ちょっと良いかな」


 リゲルは、目が覚めたばかりのスピカに気を配りながらも機関室へと連れていく。

機関室のモニターにはバラバラになったコスミックゲートの残骸が映し出されていた。

そう、偶然スピカ達の乗ったカプセルがレグルス方面へと流れていたのだ。


「オレ、レグルスに帰る前にどうしてもプロトタイプに行きたいんだ。父さんが最後に居たっていうあの場所へ…。レグルスに帰る前に行かないともう2度と行けなくなるような気がして…」


 プロトタイプ周辺の宇宙は事故以降ずっと立ち入り禁止になっている。

リゲルは勿論、アクアもプロトタイプにずっと行きたがっていたが、ずっと叶わぬ願いだった。

そして、レグルスの政府は、何かを隠そうとしている…。

これまでの旅の中でリゲルは何度もそう思わせる証言を耳にしてきた。

もし、それらの証言が全て本当なら『レグルスに帰る前に立ち入り禁止のプロトタイプへ行った方が良いのではないか?』と考えたのである。

それを理解しているスピカは「分かった」と何の迷いもなく了承した。


「ここまで来たんだ、行こう。プロトタイプ…いや、私達の『はじまりの場所』へ!」


 プレアデス軍やPeace makerの2人に襲われ、絶体絶命の危機に陥りながらも何とかレグルス周辺まで帰ってきたアクア達…。

母星であるレグルスの前に現れたコスミックゲート プロトタイプは一体何を語るのだろうか。

期待と不安を胸に、列車はゆっくりとプロトタイプへと走り出す。

そして、次回はいよいよ『全てが始まった場所』へ…。

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